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 ギャンブラーの聖地、米国のラスベガス。ホテルのカジノのスロットマシンにパンダや竜のイラストがチカチカと躍る。ここで開かれた年明け恒例の家電・情報通信技術の見本市「CES」を訪ねた。今年の主役は人工知能(AI)や次世代通信規格5Gをめぐる技術だ。

 出展した4500社のうち、1200社が中国企業。中国を狙いうちした米国の関税で経営が悪化した中小企業の一部が参加を取りやめ、前年より2割減った。

 おりしも、北京では通商紛争にからんで米中政府が協議していた。貿易黒字や赤字の多寡よりも、技術覇権をめぐる根深い対立である。ビジネスの現場は、どう受け止めているのか。

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 まっさきに華為技術(ファーウェイ)を探した。中国当局の影響下にあるとして米国の政権や議会から安全保障上の懸念とされ、一般消費者向けを除いて米国市場から締めだされた。華為は疑いを否定し、5Gからの排除を「スター選手のいないNBA(米プロバスケット協会)」と言い切る。

 展示は、パナソニック、韓国サムスン電子、米クアルコム、独ボッシュらにまじってセントラルホールにあった。地味だ。街のふつうの店のように携帯端末など商品を並べている。むしろ、新技術は本拠地深圳で発表した。経営幹部が基調講演に登壇した2017、18年とうって変わって、会見もない。中国の有力企業は、日韓と違ってトップの派遣を控えていた。昨年末の華為幹部のカナダでの逮捕を受けて、米国への渡航を避けたとのうわさが飛び交った。

 これに対して、若い企業はイキがよい。深圳の「柔宇科技」が開発したタブレットの画面を折りたたむとスマホになる端末には、人だかりが絶えない。私もさわるのに20分も並んだ。83年生まれで、米スタンフォード大学の博士号を持つ劉自鴻(リウ・ツーホン)さんが12年に創業したばかり。スマホにつないで360度画像を撮影できるカメラが話題の企業など、400社以上が深圳から来ていた。

 ぴかぴかのスタートアップ企業だけではない。「センター」から離れたテント仕立ての会場にも、中国企業がひしめく。電動おもちゃ、美容家電、受付用ロボット、小型電気自動車……。市場の動向にあわせて商品を巧みに変えながら生き残ってきた民間企業群だ。米中対立の中でも「ひとやまあててやろう」とする野心に満ちている。

 中国政府は、こうした企業家たちを知的財産権や環境、労働者の人権や消費者保護などについて緩い規制で半ば放任し、巨大市場で競わせながら、成果を国力に還元してきた。梶谷懐・神戸大学教授が指摘する「権威主義的な政府と非民主的な社会と自由闊達(かったつ)な民間経済」が織りなす「共犯関係」を強みに、中国経済は力をつけた。

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 その「共犯関係」が、国家を背負って「センター」で踊る華為のような企業には、足かせにもなる時代がやってきた。

 国家の命脈を握る通信設備を誰…

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