31歳のとき故郷の静岡に戻り、中古車販売の会社で営業手腕を発揮していた松本光一。
ものづくりをしたいという衝動に駆られ、何をつくったらいいかを模索していた。休日を使って、いろんな店に行っては商品を見て、その背景にあるストーリーを思い浮かべる日々。そして、彼は、アダルトショップにも入った。
店の奥に、グッズのコーナーがあった。そこに立ったとき、松本には違和感しかなかった。
まず、商品の置き方が、めちゃくちゃ。これとあれの機能が比較されていないので、どっちを買ったらいいか分からない。
〈家電量販店じゃあ、ありえない〉
商品のデザインはバラバラ。そして、誰がつくったか分からない。いや、これ、どの国でつくったのかさえ分からない。
〈ソニーやパナソニックじゃあ、ありえない〉
商品を見る。でも、背景にあるストーリーが想像できない。アダルトグッズはエロければいいだろ、わいせつだったらいいだろ、特殊な商品なんだから、ということなのだろうか。
松本は、その場で決心した。
〈日本に、いや、世界にもない…
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