国語

 大問数・マーク数は昨年通り。設問数は漢文で一つ増えた。評論はやや随筆調のもの。小説は5年連続していた女流作家の作品ではなく、戦前(昭和15年)に発表された男性作家の作品が出題された。古文は過去にも頻繁に出題された中世小説。漢文は杜甫の文章が出題された。

【難易度】やや易化

【全体概観】

 大問数4題、各大問の配点50点。設問数は漢文で一つ増えたがマーク数は昨年通り。

 第1問の評論は、「翻訳」の難しさについて、随想調に論じている文章で、昨年よりも分量が一割程度減り、一見して読みやすいものではあった。また、昨年のように図表に絡む設問は出題されていなかったが、問5で五人の生徒が話し合っている中で本文の趣旨と異なる発言を選ぶ問題が出題された。問6では(i)で「適当でないもの」、(ii)で文章の構成に関して「適当なもの」を選ぶ問題が出題されたので、注意が必要である。

 第2問の小説は、私小説作家の小説で読みやすい文章であった。昨年と比べて会話の量は同程度だが客観描写が多くなっている。設問の形式は例年通りで、病気の妻を気遣う主人公の内面をどう読み取るかが大きなポイントとなる。

 第3問の古文は、過去にも頻繁に出題されてきた物語系作品。内容は難しくないが、例年(過去10年平均)に比べて2割ほど長く、また、キツネが姫君に恋をするというおとぎ話的内容であるため、最後まで物語の展開を正しく理解して読み続けるには読解力と気力が必要。設問形式はほぼ従来どおりで紛らわしい選択肢も少ないが、例年頻繁に出題されてきた和歌に関わる設問は本年も出題されており、これがやや難しい。問6は、物語系作品で問われやすい「内容に関する説明(内容合致)問題」ではなく、登場人物の関係と主人公の描かれ方を問う問題であった。

 第4問の漢文は、著名な詩人杜甫の、叔母の死を悼む文章が出題された。2010年度に設問中に杜甫の詩が出たことはあるが、文中に詩は出題されなかった。設問形式は語の意味、内容説明、理由説明、昨年度同様書き下し文と解釈の組み合わせと、例年と大きな傾向の変化はない。設問数が6から7になったが、マーク数が8であることに変わりはない。

 国語全体としては、やや易化。

設問別分析

【第1問】沼野充義『翻訳をめぐる七つの非実践的な断章』→やや易化

 問1の漢字は例年通りの出題で、基本~標準レベルの問題。問2は第4段落最後に引かれた傍線部の問題であり、そこまでの流れをつかめば解ける基本問題。問3は「筆者がそのように考える理由」を問う問題であり、選択肢も長く、やや難。問4は筆者の考え方を問う問題で、選択肢も長いがレベルは標準。問5は五人の生徒の話し合いの中で、「本文の趣旨と異なる発言」を選ぶ問題であり、本文の理解がしっかりされていれば、特に難しくはない標準レベル。問6では(i)で「適当でないもの」、(ii)で文章の構成に関して「適当なもの」を選ぶ問題が出題されたので、注意が必要である。

【第2問】上林暁「花の精」(『星を撒いた街』)→やや易化

 問1の語句の問題は基礎的なもの。問2~問4は主人公の心情を把握する設問で標準的。問5は3行選択肢の主人公の心情の推移を探る設問で本文をていねいに読む必要がある。問6は例年通りの表現の問題だが、やや紛らわしい。

【第3問】『玉水物語』→昨年並み

 問1は例年通り部分訳の問題。(ア)はやや長いが、いずれも重要単語・敬語の知識で解ける。問2は2015年以来の敬意の方向の問題。人物関係を正しく読み取って解く。問3は直前までの内容と「いたづらに」の意を、問4は直前の「いかにしてさもあらむ人に見せ奉らば」を、問5は本文6行目「我、姫君に逢ひ奉らば、必ず御身いたづらになり給ひぬべし」を、問6は本文最終箇所の連歌・和歌のやりとりを、それぞれふまえて解く問題である。

【第4問】『杜詩詳註』→昨年並み

 問題文は185字で、ほぼ平年並み。設問数が、2011年度から2016年度までと同じ7に戻ったが、解答するマーク数は8で変わりない。杜甫の「文」であり、「詩」は出題されなかった。問1は「対」「乃」の意味の問題。問2、問5、問6は内容説明、問3は理由説明、問4は書き下し文と解釈の組み合わせ問題。問7は杜甫がこの文章を書いた趣意を問う問題であった。特に新しい傾向はなく、おおむね例年の傾向の範囲内であった。

新高3生へのアドバイス

 センター試験は、ごく限られた時間内に正答を求める試験です。普段から、現代文2題・古文1題・漢文1題の4題を80分で解き終わるための時間配分の訓練をすることを念頭においてください。「マーク式だからなんとかなる」という安易な考えでは、志望校に合格する十分な点数は取れないことを肝に銘じてください。センター試験まであと1年、次のアドバイスを参考にして、計画的にしっかりと勉強を進めていきましょう。

◆現代文

 第1問の「評論文」は、例年は抽象的な内容の評論文が出題されるので評論文に苦手意識のある生徒は、まず漢字・語彙(ごい)といった知識事項を固めることが先決です。こうした漢字力・語彙力は、単に漢字問題や語彙問題で点を取るだけでなく、読解力を根本から支えることにつながります。早い段階で漢字と語句の問題集を1冊ずつ仕上げ、それを文章読解の中で理解していく形をとりましょう。

 またセンター現代文に求められる「速読力」を付けるためには、本文を読みつつ問題がきたら解くという読解法(「読みつつ解く」)を日頃からトレーニングしておくことも必要です。そして、本文を読み進めるときはただ目で文字を追うのではなく、手を動かして、キーワードや筆者の主張にしっかり線引きをしていくことで解答の根拠をすばやく見つけられるように学習を進めていきましょう。

 第2問の「小説文」については、本文を「客観的」に読むということを一番に心がけてください。感情移入をして主観的に読んでしまうとどうしても得点は安定しません。本文を客観的に正確に読み、事実関係と登場人物の心情をしっかりととらえ、選択肢を要素に分けて「消去法」で消していく読解法を身につけていきましょう。

 また小説の語句問題は「辞書的な意味」を答える必要があります。日頃からわからない語句は辞書を引く習慣をつけて、評論の漢字や語彙と同様にどんどん吸収していきましょう。

◆古文・漢文

 古文・漢文は、現代文に比べると、何について問われているかが見えやすい出題が多く、それゆえ土台となる知識・基本事項の比重の大きい科目です。古文であれば、古典文法・古文単語・古典常識・敬語法など、漢文であれば、返り点などの訓読のスピード・重要句法・漢字の用法や読み・重要語などの土台になる知識の完成度が勝負の大きなカギを握ります。これらをできるだけ早い時期にマスターすることが大切です。遅くとも夏休みが終わる時点までに繰り返し確認をしながら、土台の勉強を終えましょう。それらの知識を身につけたら、後はそれを駆使してできるだけたくさんの問題を解き、解法の訓練を重ねることが必要です。きちんとした土台の上に、全体の時間配分に留意しながら正解を判断するスピードや要領の訓練を重ねることで、常に高得点がとれる、本当の力を身に付けることができるようになります。

 夏以降は、センター過去問演習の講座や模擬試験によって、解法の訓練と時間配分の練習を繰り返して下さい。模擬試験は何点とれたかということよりも、年間の学習計画の中で、その進捗(しんちょく)度・定着度を測定・認識することが重要なのです。「全国統一高校生テスト」を含めて隔月で年6回行われる「センター試験本番レベル模試」を定期的に受験していくことで、着実に実力をのばしていきましょう。

新高2生へのアドバイス

 センター試験の問題を解いてみた感想は、いかがでしたか? 「国語はなんとかなる」と思っていた人は、ボリュームの多さに圧倒されたかもしれません。しかし、新高2生の諸君が二年後に受験する「大学入学共通テスト」は、複数の文章や写真・図・表などを読み解く問題が出題され、さらにボリュームがアップし、記述問題も加わる予定です。平均得点率もセンター試験よりもやや低い5割程度にすることが発表されていますので、入念な対策が必要になりそうです。

ただし、「大学入学共通テスト」でボリュームが増え、難度が上がったとしても、問題文を読み、内容を理解して設問に答えることには変わりがありません。どのような問題が出題されてもベースとなるのは国語力(読解力と語彙力)です。読解力の定着にはある程度の時間が必要なので、他教科との学習バランスを考えてもベースとなる国語力は高2生のうちに確実に身につけてしまいましょう。ベースとなる国語力をつけてしまえば、あとは演習量を増やすことで、読解スピードのアップや、複数の素材を読み解く力もつけられます。

 「大学入学共通テスト」で高得点を取ることは志望校合格の絶対条件です。ぜひ次のアドバイスを参考にして、高2のうちから、学力大幅アップに向けて、計画的に勉強をすすめていきましょう。

◆現代文

 現代文で高得点をとるには、まず本文の正確な「読み」が前提になります。漢字や語句などの知識の習得は、高2段階での大切な学習の一つです。単に表面的な知識を増やすのではなく、文章を読解していく中で、生きた形で語彙力を付けることを心がけてください。

 次に、「速く読む訓練」を積んでください。解答時間に余裕のない「大学入学共通テスト」に対応するためには、一定以上の読解速度が必要です。これは一朝一夕では身につきません。早いうちから意識して速読する習慣をつけておいてください。また、「論理的な文章」と「文学的文章」に得意不得意のある人は、安定した成績を取るためにも、早い時期に苦手な分野を集中して学習し、克服しておくようにしましょう。なお、「大学入学共通テスト」からは「実用的な文章」の出題もありますので、国語の勉強だけでなく、「新聞」やいろいろなジャンルの「本」を読むことが結果的に試験対策にもつながります。積極的に読書の習慣を身につけましょう。

 また、模試や過去問などを解いた後は必ず「復習」する習慣を付けましょう。現代文を解きっぱなしにしていては実力はつきません。間違えた箇所の原因を知り、次に同じミスを繰り返さないようにしていくことで、次第に実力がアップしていくのです。

 いずれにせよ、今まで現代文に対して正面から取り組んでいなかった人は、現代文に対する意識を改革してください。大学入試の現代文は、適当な勉強では高得点を取れないという事実を知り、きちんと対策を立てていくべきものだという認識を持つこと、そしてそのための基礎力をこの一年間で養成するのだ、という認識を持って学習に臨みましょう。

◆古文・漢文

 まだまだ十分に時間はあるのですが、新高2生の諸君には、できるだけ早く「受験勉強としての古文・漢文」をスタートさせてほしいと思います。学校の授業でやっているからOKではなく、「受験の古文・漢文」の意識を持つことが大切です。

 古文・漢文は、現代文に比べると、土台となる知識の比重が大きい科目です。

 古文であれば、用言の活用と助動詞・助詞を中心にした解釈のための古典文法、500語ほどの重要な古文単語、古典常識、敬語法などです。漢文であれば、返り点をたどりながら本文を読むスピードと、書き下し文にできる訓読の力、使役・受け身・反語・疑問・否定といった句法の力、漢字の読みや用法の知識などです。もちろん、これらの知識を蓄えることが最終目標ではなく、知識などを駆使して問題を解く力をつけることが最終的な目標です。知識の土台固めは反復して勉強する時間が必要ですので、早く始めた者が勝ちなのです。特に漢文は、「短期間に高得点が取れるようになる」科目ではありますが、それゆえ後回しにしておいて、結局最後まで点数が伸びないという受験生が少なからずいます。2年生のうちに、早めにマスターしてしまうつもりで始めましょう。問題演習はまだ焦る必要はありませんから、とにかくこの1年間は、本格的始動のための土台固めと位置づけて下さい。

 「大学入学共通テスト」に対する実戦的な対策としては、6月と10月に実施される「全国統一高校生テスト(高2部門)」があります。これによって、特に大問1の記述問題がどのように出題され、どのような力が求められるのかを実際に知ることができます。「大学入学共通テスト」には新たに記述問題が含まれますが、出題される問題の多くは、これまでのセンター試験と同じく選択式問題です。正解選択肢を早く正確に選ぶ訓練は「大学入学共通テスト」でも不可欠な力です。自信のある人は「全国統一高校生テスト(高2部門)」に加えて、偶数月に実施される、新高3生対象の「センター試験本番レベル模試」も受験しましょう。真剣に問題に取り組む時間は、学力を伸ばす絶好の機会です。自分の現時点の力を知るためにも、学力を伸ばすためにも模試は毎回欠かさず受験するようにしましょう。(東進ハイスクール提供)

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