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(20日、卓球・全日本選手権女子シングルス決勝)

 心の強さを試されるような決勝だった。

 「よく分からない中で、挽回(ばんかい)されてしまった」。伊藤美誠(スターツ)が苦笑いを浮かべるのは、3ゲームを連取して迎えた第4ゲームだ。白星目前の9―3から8連続失点。14歳の木原美悠(エリートアカデミー)の勢いにのまれ、このゲームを奪われた。

 「いつもなら頭が真っ白になる」と言う通り、大事な局面で揺らぐ心は長年の課題でもある。実際、2016年リオデジャネイロ五輪の団体準決勝では、7連続失点で崩れた。

 ただ、この日は違った。「すぐに切り替えた」。続く第5ゲームは、逆に6連続得点などで圧倒。「去年、たくさんの強い選手と戦って、苦しい場面が何度あっても乗り越えられるようになった」。昨年11月にあったスウェーデン・オープンでは、リオ五輪女王の丁寧(中)や、当時世界ランク1位の朱雨玲(中)を破って優勝。積み上げた経験によって磨かれた内面は、もう簡単には乱れない。「気持ちがこれだけ成長したんだって、自分でもびっくり」

 ぶれない土台があるから、強化したフットワークもますます大胆になる。終盤、軽快に動いて強烈なフォアハンドを決めては、ネットにかかった球をトリッキーな技で相手コートに返し、会場をどよめかせた。

 平野美宇(日本生命)や石川佳純(全農)が最終日を迎える前に姿を消す波乱の大会だからこそ、2年連続3冠達成の安定感は一層光った。「実力も気持ちの強さも、前よりもグンと上がった」。東京五輪への切符を争う一年が、最高の形で幕を開けた。(吉永岳央)

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