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化学

 第6問・第7問のうち、いずれか1問を選択。大問数は6題、マーク数は29。出題形式に昨年度から大きな変更はなかった。

【難易度】やや難化

【全体概観】

 大問数は昨年と変わらず6題、また、第6問・第7問のうち、いずれか1問を選択する形式も昨年と同様であった。また、昨年と比べて小問数は25で変化なく、マーク数は29で増加した。第2問の問3、第3問の問5、第5問の問1、第7問の問2など、グラフや分布図が表す内容を読み取って解答する必要がある問題の割合が高かった。また、計算問題が12題と昨年よりも増加し、解答を導くまでの過程が長いものも含まれていたため、時間内に解き終えるのは相当なスピードが必要であった。昨年と比べると、全体的にやや難化した。

設問別分析

【第1問】物質の構造

問1 a 共有結合をもたない物質、b 固体状態で電気をよく通す物質を選ぶ問題。選択肢は見慣れた物質ばかりであり、平易である。

問2 ダイヤモンドの密度を表す式を求める問題。単位格子を用いて結晶の密度を求める問題は頻出である。ダイヤモンドの結晶の単位格子に関する問題を解いたことがあれば素早く解答できるが、初見の受験者は単位格子に含まれる原子の数を数えるのに時間を要したと思われる。

問3 分子間にはたらく引力に関する記述の正誤問題。分子間力の強弱と沸点の高低の関係が理解できていれば解答できる。

問4 揮発性の物質の分子量を求める問題。本来、この問題で行っている実験は奥が深く、ハイレベルな問題として扱われることも多いが、この問題では与えられた条件から簡潔に分子量を求めることができるため、無理なく解答できた受験者が多いのではないだろうか。

問5 溶解に関する記述の正誤問題。極性物質は極性溶媒に溶けやすく、無極性物質は無極性溶媒に溶けやすいといった現象をきちんと理解できていたかがポイントである。

問6 気体の溶解に関する問題。与えられた酸素の溶解度をもとに、ヘンリーの法則を用いて、水に溶けている酸素の質量を求めればよい。酸素の圧力と水の体積に注目して計算できたかがポイントである。

【第2問】物質の変化と平衡

問1 結合エネルギーに関する問題。近年のセンター試験では、エネルギー図を用いた出題はあまり見られなかったため、戸惑った受験者も多かったと思われる。H2O2(気)の生成熱が正の値であることに注目して、各物質がもつエネルギーの大小を判断できたかがポイントである。

問2 化学平衡の法則に関する問題。濃度平衡定数を正反応の速度定数k1と逆反応の速度定数k2から求められれば、無理なく解答できる。

問3 溶解度積に関する問題。図2から塩化銀の溶解度積Kspを求め、その値をもとに沈殿の有無を判断する必要がある。また、表2に与えられた濃度は混合前のものであり、混合後は濃度が半分になることを意識できていたかもポイントである。

問4 銅の電解精錬に関する問題。a 粗銅に不純物として含まれる金属が、イオンとなって水溶液中に溶け出すか、陽極泥として沈殿するかは、イオン化傾向が銅よりも大きいか小さいかで判断できる。b 析出した銅の質量から、流れた電子の物質量を求め、さらに流れた電気量を求めれば解答できる。

問5 物質の溶解後の水温を表す式を求める問題。硝酸アンモニウムの水への溶解は吸熱過程であるため、文字式を用いて温度の変化量を表した後、その変化量をもとの水温から引く必要がある。

【第3問】無機物質

問1 身のまわりの無機物質に関する記述の正誤問題。鉄の製造で得られる銑鉄(せんてつ)と鋼の違いが整理できていたかがポイントである。

問2 アルカリ金属とアルカリ土類金属に共通する性質を選ぶ問題。アルカリ金属とアルカリ土類金属は共通の性質も多い一方で、これらの元素を含む塩の水に対する溶解性は大きく異なるものが多い。両者の共通する性質と異なる性質がきちんと整理できていたかがポイントである。

問3 錯イオンに関する記述の正誤問題。一般に、錯イオンの形は配位数によって決まり、配位数が4の錯イオンの多くは正四面体形である。しかし、例外で正方形であるものも存在するため、よく出てくる錯イオンの形をきちんと整理できていたかがポイントである。

問4 硝酸の工業的製法(オストワルト法)に関する問題。a 反応Ⅲは二酸化窒素と水の反応によって硝酸と一酸化窒素が生成しているため、窒素原子の酸化数を求めることで解答できる。b オストワルト法では、1molのアンモニアから1molの硝酸が得られることを覚えていれば、計算の必要はなかった。

問5 溶液の混合によって生成した沈殿の質量を表すグラフを選ぶ問題。選択肢から選ぶ問題であるため、試験管番号をいくつか選び、具体的に計算してしまえば素早く解答できる。

【第4問】有機化合物

問1 ベンゼンに関する記述の正誤問題。ベンゼンと塩素の反応は、反応条件や用いる触媒によって生成物が異なるため、注意深く設問を読む必要がある。

問2 混合物中の1―ブタノールの含有率を求める問題。発生した水素の物質量をもとに、混合物中の1―ブタノールの物質量が求められる。

問3 芳香族化合物の還元反応の生成物を選ぶ問題。第一級アルコールの酸化でアルデヒドが得られるため、その逆反応が還元反応になることに気づけたかがポイントである。

問4 炭素数4のカルボニル化合物を数える問題。アルデヒドとケトンはともにカルボニル基をもつため、化合物Aと異性体の関係にある炭素数4のアルデヒドとケトンを数え上げればよい。

問5 酢酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの反応により得られる化合物と用いる実験装置を選ぶ問題。この反応は、メタンの実験室的製法である。また、メタンは水に溶けにくい気体であることが分かれば捕集法も正しく選択できる。

【第5問】高分子化合物

問1 高分子化合物の分子量に関する問題。高分子化合物Aは分子量がMよりも小さい分子の割合が高く、高分子化合物Bは分子量がMよりも大きい分子の割合が高いことをグラフから読み取れたかがポイントである。

問2 高分子化合物に関する記述の正誤問題。天然繊維は、植物繊維と動物繊維に分類されることが意識できていたかがポイントである。

【第6問】合成高分子化合物(選択問題)

問1 ホルムアルデヒドを原料として用いない合成高分子を選ぶ問題。アクリル繊維は、アクリロニトリルの付加重合によって得られるポリアクリロニトリルを主成分とした繊維であることを覚えていれば解答できる。

問2 高分子化合物の平均分子量を求める問題。カルボキシ基の数の半分が高分子化合物Aの分子数に相当することに気づければ解答できる。

【第7問】天然高分子化合物(選択問題)

問1 二糖類に関する記述の正誤問題。各二糖類を構成する単糖類がきちんと整理できていれば解答できる。

問2 ジペプチドを構成する二つのアミノ酸を選ぶ問題。図2より、ジペプチドAにはSが含まれているため、一つはシステインであることに気づけたかがポイントである。

新高3生へのアドバイス

◆はじめに

 皆さんの受験される2020年1月のセンター試験が、最後の実施となります。これから一年間、これまでに行われたセンター試験を利用し、十分な準備をして万全の態勢で来年の本番を迎えられるようにしましょう。センター試験の化学で高得点を取るためには、“いかに早期に一通りの分野を学習し終えるか”ということが最も重要な秘訣(ひけつ)となります。基礎~標準レベルの問題で構成されているとはいえ、広範囲の問題を解き慣れるには時間が必要です。教科書レベルの内容は、なるべく早期に学習し終えましょう。

◆センター試験化学の特徴

 センター試験では、単に知識を問う問題だけではなく、その場で考えて答えを導き出すような出題も多くみられます。普段から丸暗記中心のような表面的な学習だけでなく、各分野の根本的な部分を理解しながら学習を進めるようにしましょう。また、センター試験の化学では計算問題も多く、60分ですべての問題を解き終えるには、各設問を素早く解くための十分な訓練が必要です。過去に出題された問題と類似した出題がみられるのもセンター試験の化学の特徴ですので、本番に挑む前には十分な過去問演習を積んでおきましょう。

◆まずは理論化学の徹底理解を!

 化学の学習を進めていく上で、理論化学の分野をしっかりと理解することがとても大切です。なぜなら、その後に学習する無機化学や有機化学の学習は、理論化学で学んだことが土台となるからです。理論化学がしっかりと理解できていれば、無機化学や有機化学の学習もスムーズに進めることができます。

◆高3の夏までに全範囲を終わらせよう!

 皆さんに、ぜひ目標にしてもらいたいのが、「高3の夏までに一通り学習し終える」ということです。先ほども述べたように、センター試験の化学では、“いかに早期に一通りの分野を学習し終えるか”がカギとなります。その期限を高3の夏に設定しましょう。そのために、塾・予備校や参考書なども利用し、今から計画的に学習を進めましょう。

◆模試を活用しよう!

 実際に行われたセンター試験の問題にもとづき、出題内容や問題レベルを分析して作られる東進の「センター試験本番レベル模試」は、全国統一高校生テストを含めて年間6回実施されます。これらの模試を活用することで、問題の傾向を把握し、現状で自分に足りていない部分を把握することができます。上手に模試を活用し、来年の本番に向けて十分な学力を身に付けていきましょう。

新高2生へのアドバイス

◆はじめに

 2021年1月に、これまでのセンター試験にかわって大学入学共通テストが実施されます。過去問がなく、どのような問題が出されるのか不安に感じている人も多いと思います。しかし、化学の場合は、これまでに2回実施された試行調査をもとにある程度の難易度や出題形式は予想できますので、あまり“新テスト”ということを意識し過ぎず、落ち着いて学習を進めていきましょう。

◆センター試験と大学入学共通テストの違い

 大学入学共通テストでは、単に知識を問う問題だけではなく、与えられた図や表をもとにその場で考えて答えを導き出すような、思考型の出題の割合がセンター試験よりも多くなると予想されます。これまでに2回実施された試行調査も、思考型の問題を中心に構成されています。また、センター試験は各設問が独立していたのに対して、試行調査では設問間でつながりがある問題も見られました。この辺りも思考力が問われるポイントになります。

◆普段から化学現象を理解することを心がけよう!

 思考型の問題に対応する力を身に付けるには、常に化学現象を理解しながら学習を進めることが大切です。問題を読んでも、そこで起こっている現象が理解できなければ、考えることなどできません。いつも、“覚える”ことに集中してしまう人は要注意です。普段から、今考えている化学現象の中で物質がどのように振る舞っているのかを頭の中で想像する訓練をしましょう。

◆常に最新の情報に耳を傾けよう!

 東進ハイスクールでは、2回の試行調査を徹底的に分析し、大学入学共通テストに関する情報を随時発信していきます。今後行われる大学入学共通テスト対応の模擬試験も積極的に受験し、万全の態勢で2年後の本番を迎えられるようにしましょう!(東進ハイスクール提供)

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