生物

 実験考察問題が増加したが、知識問題は解答しやすかったため、難易度は昨年並み。

【大問数】変化なし

【設問数】減少

【マーク数】減少

【難易度】昨年並み

【全体概観】

 昨年と同様に、大問数は6題であり、第6問と第7問が選択問題である。設問数は第6問、第7問どちらを選択しても26問であり、昨年の29問よりも減少した。マーク数は第6問、第7問どちらを選択しても32で、昨年(34)よりも減少した。知識問題は、生物の教科書の内容を押さえておけば解け、易しめであった。しかし、実験考察問題の分量が多く、図・表などデータの量が増え、処理に時間がかかるため、全体として昨年並みの難易度であった。

設問別分析

【第1問】生命現象と物質(光合成、生体膜と物質輸送)

 Aは光合成に関する歴史的な実験に関する知識問題、Bは生体膜に関する知識問題とデータ考察問題である。全体に易しめである。問1は知識がなくても解けるが、教科書の知識とリンクできるかで大きく得点差がつくだろう。問2~問4は易しめの知識問題である。問5は食塩水の濃度と赤血球の体積が反比例することを理解していれば難しくはない。

【第2問】生殖と発生(X染色体不活性化、気孔密度の制御と遺伝子)

 Aは三毛ネコの雌のX染色体不活性化に関する遺伝の計算問題およびデータ考察問題、Bは被子植物の気孔密度と遺伝子に関する実験考察問題である。全体的に問題自体はそれほど難しくはないが、大半が考察問題であり、文章の読解やデータの処理に時間がかかり、得点差がつくだろう。問1は伴性遺伝の遺伝計算問題の練習をしていれば問題なく解けるだろう。問2は完全に初期の状態のままネコが発生すると思い込む可能性があり、失点した受験生も多いだろう。問3・問4は、実験1・実験2の内容はシンプルであり、易しめである。ただし問4は、対照実験の考え方がないとミスをおかしやすい。

【第3問】生物の環境応答(眼と視覚のしくみ、植物の根の窒素分への応答)

 Aは眼や視覚のしくみに関する知識問題とデータ考察問題でBは植物の根の硝酸イオンに対する応答と関連する遺伝子に関する実験考察問題である。Bは難しく、大きく得点差がついたであろう。問1・問2は錐体(すいたい)細胞と桿体(かんたい)細胞の性質を知っていれば容易に解ける。問3は網膜に映る像が倒立映像であることを失念すると解けないだろう。問4は文章の内容、図6と図8の解釈に相当時間がかかり、得点率は相当低いことが予想される。

【第4問】生態と環境(個体群、種間関係)

 Aはジャコウウシに関するデータ考察問題であり、Bはイネ科植物に関する実験考察問題である。Bが難しく、得点差がついたであろう。問1は1988~1990年が指数関数的な増殖期にあることから容易に判断できる。問2は、選択肢の文章が平易であり、前文の内容とデータを見比べればそれほど難しくはないだろう。問3は実験の内容がわかりにくく、図3~図6の結果と選択肢を見比べて判断するのに時間がかかる。

【第5問】生物の進化と系統(生物の分類、地質時代と生物の変遷)

 Aは、生物の分類に関する知識問題、Bは、地質時代と生物の変遷に関する知識問題である。全体としては易しめであるが、教科書のすみずみまで覚えておかないと失点するだろう。問1は分類階級を覚えていれば容易に解答できる。問2は、3ドメイン説の知識、およびミトコンドリアと葉緑体の祖先が細菌ドメイン由来であることを知っていないと解けず、やや難しめである。問3は、問2が正答しないと間違える構成になっており、得点差がつくだろう。問3の知識問題は選択肢がわかりやすく、易しめである。問4~問6は易しめではあるが、幅広い知識が要求される。

【第6問】DNAの複製と遺伝情報の転写・発現 (DNAの複製、転写・翻訳の方向性)

 生物基礎のDNAの複製、転写・翻訳と生物(4単位)のヌクレオチド鎖の方向性を合わせた総合問題である。全体にやや難しめである。問1は半保存的複製を理解していれば容易な知識問題である。問2は、○a鎖を鋳型鎖とした場合、mRNAの開始コドンは右から左へと読み、○b鎖を鋳型鎖とした場合、mRNAの開始コドンは左から右へと読むことに気づくかどうかで得点差がつくだろう。問3は、文章の意味を正しく捉えることができれば正解できる。

【第7問】生物の種間関係(食物網、種間関係、自然選択)

 生物基礎の食物網、生物(4単位)の種間関係および自然選択に関する総合問題である。実験考察問題が主体であるが、見た目ほど難しくはない。問1は前文と実験1をしっかり読めば容易に正解できる。問2は、表1と表2の結果がわかりやすいので、時間さえあれば正解できるだろう。問3は易しめの知識問題である。

新高3生へのアドバイス

◆センター試験について

 皆さんの受験される2020年1月のセンター試験が最後の実施となります。センター試験生物では、大問6題を試験時間60分という限られた時間で解答することになります。この6題の大問は、教科書の「生命現象と物質」「生殖と発生」「生物の環境応答」「生物と環境」「生物の進化と系統」の五つの単元からまんべんなく出題されます。つまり、センター試験は、教科書全体から幅広く出題されます。

 気になる難易度ですが、センター試験は平均得点率が60%になるように作られています。

 問題の内容ですが、約半分程度は基本的な知識問題です。これは、教科書で学習する用語をしっかりと覚え、教科書に載っている実験内容と結論をきちんと整理していれば容易に解ける問題です。ただし、かなり詳細な知識が要求されることもあるので、細かいところまでしっかりと覚えておく必要があります。これを怠ると高得点は望めません。

 残りは、実験考察問題や計算問題です。よく「生物は暗記科目」と思われがちですが、センター試験は教科書の基本的な知識を土台にした実験考察問題が出題されます。これらはまず、問題文を読みこなし、データを解析して、正しい解答を導き出す力が必要になりますが、一朝一夕で身につくものではなく、周到な準備が必要です。

 さらに、センター試験では、実験結果を見ただけでは解答に至らない実験考察問題が出題されることがあります。このような問題は、実験結果と選択肢を照らし合わせて正解を導きださねばなりません。

 また、計算問題は、数学と同様に、たくさんの演習を行うことで処理速度が上がっていきます。計算問題に時間をとられなければ、他の実験考察問題に時間をつかうことができるので、高得点が狙えます。

◆模試を活用しよう!

 まずは、教科書の基本的な内容をしっかり学習し、「全国統一高校生テスト」を含めて年間6回実施する東進の「センター試験本番レベル模試」を積極的に受けてセンター試験の形式や時間配分にも慣れ、学習の成果を確認していきましょう。

新高2生へのアドバイス

◆大学入学共通テストとセンター試験について

 2021年1月にこれまでのセンター試験にかわって大学入学共通テストが実施されます。皆さんが受験するときは、センター試験ではなく、大学入学共通テスト(新テスト)にかわります。そこで、「センター試験を受けても意味がない」と思うかもしれませんが、そうではありません。

 大学入学共通テスト生物は、センター試験生物と同様、試験時間は60分ですが、内容は大きく異なります。大問は5題で、教科書の単元ごとの問題ではなく、総合問題が出題されます。また、平均得点率が50%と低く設定されています。大学入学共通テストの試行調査では、平均得点率が30%台と低いので、難度が高くなることが予想されます。知識問題では、単純に生物用語を問うものは一切なく、教科書の内容を理解しているかを問う文章選択問題が出題されます。これらの問題は生物用語を知っていることが前提になっていますので、用語を覚えなくてもいいというものではありません。むしろ、単純な用語を問う問題よりも難度は高いです。問題の主体は実験考察問題で、教科書の単元ごとではなく、総合問題になっていますので、教科書の全分野の理解が必要です。特に、仮説の設定など実験計画に関する出題は大学入学共通テスト独特のため、訓練が必要になるでしょう。

 一方、2020年で終了するセンター試験ですが、大問は6題で、教科書の「生命現象と物質」「生殖と発生」「生物の環境応答」「生物と環境」「生物の進化と系統」の五つの単元からまんべんなく出題されます。つまり、センター試験は、教科書全体から幅広く出題され、平均得点率が60%に設定されており、大学入学共通テストよりも解きやすい問題となっています。約半分程度は基本的な知識問題で、教科書で学習する用語をしっかりと覚え、教科書に載っている実験内容と結論をきちんと整理していれば容易に解ける問題です。残りは、実験考察問題や計算問題です。これらは教科書の基本的な知識を土台にしています。大学入学共通テストよりもセンター試験の方が基礎に寄っていますので、大学入学共通テストに臨む前段階の、教科書の内容の理解をチェックするのに、非常に優れたツールになります。過去のセンター試験を大いに活用して新テストに備えましょう。

◆模試を活用しよう!

 まずは、教科書の基本的な内容をしっかり学習していき、「全国統一高校生テスト」を含めて年間6回実施する東進の「センター試験本番レベル模試」を受験し、多くの問題演習を通して学習状況の確認をしていきましょう。(東進ハイスクール提供)

こんなニュースも