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錨を上げろ③

 タイ・バンコク郊外にある最大級の展示場で昨年10月、情報通信技術の見本市「CEBIT(セビット)」が開かれた。企業の出展ブースがひしめき、日本人の姿もちらほら。そのなかに一段と熱気を帯びた一角があった。

 投資家や現地企業の関係者らを前に起業のアイデアを披露し、投資のチャンスをうかがう「スタートアップ」のエリアだ。

 日本から乗り込んだのは、日本貿易振興機構(ジェトロ)が引き連れた7社。英語のプレゼンテーションを1社あたり7分間おこない、その後の3分は投資家らご意見番との質疑応答。タイ進出の成否がその10分間にかかる。

 「シルクはタイの産業。シナジー(相乗効果)を生かして革新できる」

 仙台から乗り込んだAI(エーアイ)SILK(シルク)の岡野秀生さん(59)はこんな熱弁をふるっていた。岡野さんはオリンパスの研究職を早期退職した後に起業した。東日本大震災からの復興を目的に、東北大学の技術を使って導電性の高いシルクを開発した。医療・ヘルスケア用での協業先を探し、タイにやってきた。

 Kotozna(東京)の後藤玄利さん(51)は、健康関連のネット通販ケンコーコムの創業者。異なる言語どうしでチャットができる新サービスで2度目の起業をした。「観光が主要産業だが、言葉の壁が厚い」というタイにビジネスチャンスがあるとみて、懸命にアピールした。

■ご意見番の鋭いツ…

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