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カイシャで生きる 第23話

 2017年の夏、東京都あきる野市。俊太郎(27)は足場やはしごをのぼり、建築中の2階建て住宅の屋根の上に立った。目線は地上8メートル。深く息を吸い込んで見上げると、快晴の青空が広がっていた。

組織の歯車として一日一日を懸命に生きる。ときに理不尽な人事や処遇に苦しんだり、組織との決別、新しい人生を考えたり。様々な境遇や葛藤を経験しつつ前に進もうとする人々の物語を紡ぎます。

 〈やっぱり空って青かったんだ〉

 みんなは僕らをニートと呼んだ。そう、僕らは引きこもっていた。どう生きていけばいいか分からずに。けれども僕らは変われたんだ。屋根の上で汗だくになり、青空を見上げる快感を知ってしまった。もう後には戻らない。やっと居場所が見つかり、仲間とも巡り合えたのだから。(敬称略)

他人と顔を合わせるのはもっと嫌

 高校までの成績は悪くなかった。でも推薦で入った大学で目標を見失ってしまった。就職活動の時期を迎えても何かをする気になれず、卒業後は友人とも連絡を絶った。

 「いま思うと、なぜ逃げちゃったのかな。自分で勝手に孤立を深めてしまった」

 大学を卒業してからの3年間、俊太郎にとっての空は夜空だった。川崎市の自宅の部屋に閉じこもり、本やマンガを読んだり、寝ていたり。窮屈な思いはあったが、外で他人と顔を合わせるのはもっと嫌だった。

 夜になると、1人で散歩に出た。近所の河原のベンチ、ときには墓地に腰掛けて星空や月を眺めた。でも将来の展望は何も見えてこなかった。

 ニート生活が2年あまり続いた…

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