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 首都圏で有料老人ホームなど37施設を運営する「未来設計」(東京)が22日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。介護施設では過去最大規模となる経営破綻(はたん)の背景には、創業者への高額な役員報酬支払いによる資金繰りの悪化があった。過去8年間で創業者に支払われた報酬の総額は計22億円にのぼる。

 負債総額は約54億円。同社が運営する老人ホーム「未来倶楽部」など37施設の入居者約2千人の生活に影響が出ないよう、昨年7月に同社の持ち株会社を買収した創生事業団(福岡市)が支援する再生計画案を準備している。一方、ホーム入居時に支払われた入居一時金のうち、死亡などで返還義務が生じている約2億円(59人分)については全額返すことはできない見通し。一時金が全額返ってこない人はさらに増える可能性がある。

 創生事業団が未来の幹部から聞き取るなどして調べたところ、創業者の伊藤英子氏(70)に対し、調べることができた少なくとも2010年以降、毎年3億円前後の報酬が支払われていた。16年8月期以降は、預かり金である「入居一時金」を一括して売上高に計上して運転資金に回し、そこから伊藤氏への報酬が支払われていた。

 こうした会計処理は伊藤氏の指示によるものだったと、未来の幹部は証言しているという。同社は「不正な会計操作による高額な報酬支払いで経営が悪化した」として、伊藤氏らを相手に約21億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。

 伊藤氏は昨年12月に朝日新聞の取材に応じ、一連の会計処理について「税理士に確認して大丈夫だと言われた」と話した。伊藤氏の代理人弁護士は21日、「未来設計を破綻状態にさせたことは創生事業団の判断と責任」などとする伊藤氏のコメントを公表している。(本田靖明)