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 親元を離れて暮らす大学生は生活習慣が崩れやすい。でも、朝から運動して、朝食を食べれば、午前中からフル回転できる――。東京電機大学(東京都足立区)で、そんなチャレンジが始まっている。指導役は、あのレジェンドに薫陶を受けた地元出身の元Jリーガーだ。

 昨年12月、東京電機大東京千住キャンパス。午前8時すぎの体育館は冷え切っていた。柏レイソルやヴァンフォーレ甲府などに所属した元Jリーガー、長谷川太郎さん(39)の指示で、学生20人が体を動かし始めた。互いに声をかけてボールを手でパスするゲームや、四つんばいで体を支えるトレーニングをした。次第に学生の顔はほてり、真剣な表情に。30分前に、眠そうな顔をしていたとは思えない。

 運動後、学生たちは飲食スペースで、おにぎりや焼きサケなどをたいらげた。長谷川さんの知人で、料理教室を開く高橋思歩さん(34)が手作りした食事だ。普段は朝食を食べない情報環境学部3年の仲島大樹さん(20)は「体を動かせば、体が目覚める」と声を弾ませた。

 この取り組みは、東京電機大が昨年9月末に始めた「朝TRE×朝ごはん」。情報環境学部4年の角田賢太朗さん(23)らが、午前9時台に始まる1限授業の出席率の低さに問題意識を持ち、昨夏に学部内のアイデアコンテストに応募。高い評価を受け、まずは今年度限定でやってみることになった。

 長谷川さんは足立区出身。ここ数年、東京都内でサッカー教室を開くかたわら、足立区内の小学生に朝から運動させるなど、体が目覚めるメニューを練ってきた。昨年9月、東京電機大から依頼があり、朝活の重要性を訴えてきた高橋さんらと引き受けた。

 早起きの大切さを痛感したのは、現役引退後、横浜FC時代に同僚だった三浦知良選手(51)のシーズン前の自主トレに同行したときだ。三浦選手は午前5時台にランニングと体幹トレーニングを終え、朝食をとっていた。「朝はつらいけど、打ちかってやりきるから成長する」。サッカー界のレジェンドの言葉を心に刻んだ。

 「朝TRE×朝ごはん」はこれまでに6回開催し、参加した大学生の評価は上々だ。大学側は新年度も継続することを前向きに検討している。長谷川さんは「サッカーの経験を通して、地域に貢献できてうれしい。早起きを習慣化して、午前中から体を動かし、努力を続けることで夢に近づける」と話している。(阿部健祐)