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 経団連は22日、今春闘で経営側の指針となる経営労働政策特別委員会報告を公表した。6年連続のベースアップ(ベア)を容認する一方で、賃上げ以外の総合的な処遇改善策も強調し、賃上げと処遇改善を「車の両輪」と位置づけた。

 昨年5月に就任した中西宏明会長(日立製作所会長)による初の経労委報告。ベアは容認しつつも、多くの企業がベアを複数年続けたことによる「累積効果」で賃金水準が底上げされてきたとし、「累積効果を考慮することなく、賃金改定状況の正確な理解と評価はできない」と経営側の努力をアピールした。

 また、貿易摩擦などで先行きの不透明感が強まっていることも強調。若年層や子育て世代らへの重点配分や、諸手当や賞与など多様な方法による賃金引き上げを訴えた。

 処遇改善策では、在宅勤務の拡大や長時間労働の是正、育児・介護との両立支援など様々な観点からの検討を求め、「仕事と生活の両立による相乗効果について経営トップが示す必要性がある」と明記した。

 働きがいを高めることも重視。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を経営方針に取り込み、仕事に社会的に意義を持たせることを勧めた。また、社員一人ひとりのキャリア形成や自己啓発を促す支援策にも力を入れる。デジタル化で各企業の業態が変わり、雇用の流動が進むことを見据えた形だ。

 昨春闘では安倍政権に求められる形で「3%」という数値目標も経労委報告に盛り込んだが、今春闘では中西会長が「官製春闘」と呼ばれることに強く反発し、「そもそも賃金の引き上げは、政府に要請されて行うものではない」との一文を挿入。労使間で話し合い、具体的な賃上げ方法などを決める姿勢を改めて訴えた。(加藤裕則)