本田靖明、松田史朗
首都圏で老人ホーム「未来倶楽部」など37施設を運営し、2千人近い入居者を抱える未来設計(東京)が経営破綻(はたん)した。その創業者には、毎年3億円前後という巨額の報酬が支払われ続けていた。巨額報酬はどのように捻出されたのか。異常な経営はなぜこれまで放置されてきたのか。
「決算書(BK用)」
未来設計の親会社を昨年買収した同業の創生事業団(福岡市)が内部告発を端緒に未来の経営実態を調べたところ、こう書かれたファイルが複数見つかった。BKはBANK(銀行)の略。銀行から融資を引き出そうと、経営を黒字に見せかけるよう粉飾された決算書だったと、未来の幹部が証言したという。
未来の売上高は年間90億円規模で、老人ホーム運営会社としては中堅。それが創業者の伊藤英子氏(70)に毎年3億円前後もの報酬を支払い続けた結果、資金繰りが悪化。2011年8月期には債務超過に陥っていたものの、伊藤氏は高額の報酬を受け取り続けた。
幹部の証言などによれば、経営を黒字に見せかける会計操作は11年ごろから続けられていた。支払いを翌期に繰り延べたり、翌期に入ってくるはずの介護報酬を前倒しで計上したりしていたという。
さらに目を付けたのが、入居時に支払われる「入居一時金」だ。未来では240万~1千万円が入居のたびに入ってくる。だが、この一時金は「前払いの家賃」に相当する預かり金で、月々に分割して売上高に計上することが入居者との契約で定められている。
ところが未来は12年8月期から、翌期の売上高に計上しなくてはいけない一時金を一部前倒しで計上して売上高をかさ上げした。16年8月期からは、入金後すぐに全額を計上し、まるまる運転資金に回すことで役員報酬の「原資」を捻出していたという。
創生の調査では、銀行からの融資をめぐって17年4月に伊藤氏と未来幹部が交わしたとされる会話の音声記録も出てきた。銀行に経営実態を開示するよう進言する幹部に対し、伊藤氏が引き続き融資を受けられるようにするべきだと繰り返し主張する内容だという。
伊藤氏による会計操作の指示があったのか、経営が苦しい中でなぜ高額の報酬をもらい続けたのかなど、朝日新聞は伊藤氏側に18日に質問を送ってコメントを求めたが、22日夕時点で回答はない。
■「粉飾されたら見抜け…
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朝日新聞社会部