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 13年前に「親心」から廃業した酒蔵がこの冬、復活する。家業を継ぐ意思を固め、酒造りの腕を磨いていた男性はかつて、突然の廃業の報に肩を落とした。それでも2代目の祖父や、日本酒ファンの思いに応えようと、一念発起。曲折を経て、間もなくどぶろくづくりを始める。

 島根県境にほど近く、中国山地の稜線(りょうせん)を望む広島県北広島町大朝。1873(明治6)年建築と伝わる酒蔵には、太いはりや土壁、酒を搾る「槽(ふね)」が残り、往時の雰囲気を残す。

 1月中旬、しんしんと冷える「福光酒造」の蔵で4代目蔵元の福光寛泰さん(47)は感慨深げに言った。「復活まで苦労も色々あったが、家族や町の人に支えられて、ようやくお酒を造れる。大朝は、米に水、気温と、酒づくりにはぴったりの場所です」

 福光酒造は、開業医だった母方の曽祖父が、経営に苦しむ蔵を買い取って1933年に創業した。口当たりが深く、甘口の清酒「朝光(あさひかり)」が看板商品だった。

 学生時代から山登りや旅行が趣味だった福光さんは、卒業後も土木作業員をしながら「自由にやっていた」。そんなころ、2代目蔵元で、尊敬する祖父から「酒蔵を何とか守ってほしい」と言われ、はっとした。「いずれ自分が継ぐ」と決め、複数の酒造会社や酒類総合研究所(東広島市)で修業。99年からは山口県岩国市の酒造会社で日本酒づくりの腕を磨いた。

 思い描いた未来は2006年春、暗転する。「廃業したから」。母親が電話口で言った。3代目が病で倒れ、経営も厳しく継がせるのは忍びない、との思いからだった。酒類製造免許は税務署に返納済み。「継ぐために重ねてきた苦労は何だったのか。親心からの判断なので怒りはすぐにおさまったけれど、状況を受け止めるのに時間がかかった」

 廃業から8年後、広島市内の居…

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