[PR]

 愛知県岡崎市のバス会社「KRB観光バス」が昨年6月中旬から約1カ月間、車検切れの貸し切りバス1台を営業運転していたことが、関係者への取材でわかった。同社は社内で問題が発覚した後、中部運輸局の調査に虚偽の申告をしていた。社長は朝日新聞の取材に「お客さんに迷惑がかかると思った」などと話し、一連の行為を認めた。

 同社は、愛知県豊田市や瀬戸市のほか大阪府内に営業所を構え、主に貸し切りバス事業で企業や学校の送迎などを手がけている。朝日新聞が入手したバスの車検証や高速道路の利用履歴によると、問題のバスの車検は有効期限が昨年6月9日だったが、7月18日にかけて計9回運行していた。

 関係者によると、当時は大手家電メーカーの社員寮がある愛知県日進市内から工場がある岡崎市内まで、高速道路を利用して約30人の社員を送迎していた。7月下旬、バスの車検が切れているのを乗務前の運転手が見つけたという。ある従業員は「当時は所有するバスの3カ月点検や車検の時期を会社として一元管理していなかった。行き当たりばったりで、乗務員が確認する以外に方法はなかった」と証言する。

 内部告発を受け、昨年11月に中部運輸局愛知運輸支局(名古屋市)が社長らを呼び出し、聞き取り調査をしたところ、「バスの年式が古く、故障して修理工場に止めていた」などと虚偽の説明をした。運輸局は当時の運転日報や点呼簿を求めたが、社長は提出しないよう社内で指示をしていたという。

 朝日新聞の取材に同社は「車検切れの原因はヒューマンエラー(人的ミス)。(更新を)忘れていた」と釈明したうえで、運輸局への虚偽の申告については「(行政処分によって)バスが止められると仕事ができなくなる」と説明した。

 国土交通省によると、車検切れのまま営業運転をした場合、行政処分によって違反車両1台あたり60日間の使用停止となる。貸し切りバスや乗り合いバスの事業所への行政処分は、2017年度は10件あった。

中部運輸局、営業所を特別監査

 中部運輸局は23日、KRB観光バス豊田営業所(愛知県豊田市)の特別監査に入った。運輸局は、関係書類を調べるとともに社長らに詳しく事情を聴く方針。

 特別監査は、重大な事故や法令違反の疑いがある事業者に対する立ち入り監査。関係者によると、営業所内から車検切れで運行していた当時の運転日報などが見つかったという。(佐藤英彬、大野晴香)