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 文化や伝統を伝えるストーリー(物語)を認定する文化庁の2019年度の「日本遺産」に、館林市が三つの沼をテーマにした「里沼(SATO―NUMA)」を申請した。人の手が入り、人が適度に関わることで良好な自然環境が守られてきた里山の「沼版」として、「里沼」という新しい概念を打ち出したのが特徴だ。

 市によると、利根川と渡良瀬川に挟まれた館林には大小五つの沼があり、このうち代表的な3カ所を選んでストーリーにした。古刹(こさつ)・茂林寺(もりんじ)そばで多くの水鳥や水生動植物が生息し、里沼の原風景が残る茂林寺沼を「祈りの沼」、麦や川魚の食文化を育んだ多々良(たたら)沼を「実りの沼」、館林城を取り囲む外堀の役目をした城(じょう)沼には「守りの沼」のコンセプトを与えた。

 市の担当者が23日に文化庁(東京・霞が関)を訪れ、申請書を手渡した。申請に際し、ストーリーの展開に必要な38件の関連文化財も併せて提出した。その中には国の名勝に選ばれている躑躅(つつじ)ケ岡や、市出身の文豪・田山花袋の旧居、ぶんぶく茶釜の昔話が伝わる茂林寺の茶釜といった有形の文化財の他、ナマズの天ぷらやコイの洗いなど沼の幸の川魚料理や、渡し舟がその起源という花ハスクルーズなど無形の民俗文化財も並んでいる。

 日本遺産は15年度に始まり、これまでに67件が認定されているが、沼の認定はまだない。県内での認定は桐生市、甘楽町、中之条町、片品村の「かかあ天下―ぐんまの絹物語」の1件にとどまる。文化庁は20年度までに100件程度まで増やす方針だ。(長田寿夫)