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 不正流出事件を起こした仮想通貨交換業者コインチェックは、今年1月11日、金融庁に正式な登録業者として認可されたばかりだ。1年前の事件は、登録前の「みなし業者」として営業するさなかに起きた。

 金融庁は顧客資産の管理がずさんだったコインチェックに2度にわたり業務改善命令を出し、コインチェックは昨年4月、ネット証券大手マネックスグループの傘下に入った。ベンチャーのコインチェックはマネックスのノウハウで社内体制を整え、ようやく登録業者となった。

 金融庁は事件前まで、仮想通貨が金融のIT化を進める起爆剤になると期待し、仮想通貨業界を後押ししていた。17年4月施行の改正資金決済法で、仮想通貨は決済手段として認められ、金融庁は業者に登録制を導入。業界を育成しようとした矢先に事件は起きた。

 事件をきっかけに交換業者を一斉点検した金融庁が目にしたのは、各社のずさんな実態だった。顧客資産の私的流用や犯罪のマネーロンダリング(資金洗浄)対策の不備が次々に発覚。国際的にも仮想通貨を規制する流れとなり、金融庁は業界の育成から、厳格な監督にかじを切った。

 規制強化のため、今月28日召集の通常国会には、資金決済法と金融商品取引法の改正案が提出される。不正流出事件を受け、顧客の資産を保護する姿勢を前面に打ち出したのが特徴だ。

 交換業者には財務資料の開示を義務づけ、不正流出に備えた弁済原資を確保させる。取り扱う仮想通貨は事前に届け出させて、犯罪への悪用が懸念される匿名性が高い仮想通貨は事実上、扱えなくなる。みなし業者の営業は制限する。

 仮想通貨交換業者は、登録業者は17社で、ほかに21社が登録準備中だ。不正流出事件以降、規制強化に加えて仮想通貨相場も急落し、バブル的な活況だった業界を巡る環境は一変した。大手傘下に入ったコインチェックのように、今後も業界の再編が進む可能性もある。(山口博敬)