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 やめどきが難しい抗がん剤治療。この問題に詳しい、日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍(しゅよう)内科教授の勝俣範之さんに、背景や課題について伺いました。

がんとのよりよい共存

 再発や遠隔転移したがんは、治すことは困難です。治療の目的は、がんとのよりよい共存。それは、生活の質を高め、患者さんが大事にしている価値観、この先どう過ごしたいかの希望を大切にすることです。抗がん剤はそのサポートに使います。

 患者さんが「治したい」と希望するのは当然だと思います。でも、治そうと思って無理に治療をやりすぎてしまうと、ご自身の大切な生活の質をも犠牲にしてしまいます。何が治療の目的かを患者と医師の間できちんと共有することが大切です。

 現実には、亡くなる直前まで抗がん剤治療が続けられてしまうケースが多いです。薬の種類が増えている影響もありますが、がん患者さんの多くが、亡くなる1カ月くらいまで体が元気でいられるという背景があります。科学的に効果が証明された標準治療は通常、体が元気なときに終わります。

 医師は「標準治療は終わっているから、ここから先は基本的に積極的な治療はしない方がいい」と考えます。抗がん剤を続ければ、かえって命が縮まる恐れもある。でも、患者さんは「こんなに元気だから、何かできるんじゃないか」と思えてしまう。

問題多い「説明と同意」

 日本の医療現場では、そもそも適切なインフォームド・コンセント(説明と同意)ができていない。よく見かける問題のあるインフォームド・コンセントは、脅迫型、自己責任押しつけ型、突き放し型の三つです。

 加えて、患者さんが納得できるように説明するコミュニケーション技術も軽視されています。医師の言い方次第で、患者さんの人生が変わります。コミュニケーション技術は手術や抗がん剤を使うことと同じくらい本質的に重要です。

 医師が多忙で説明時間を確保できない事情もあると思います。今は入院ではなく、外来で治療方針を話すようになりました。「3時間待ち3分診療」と言われて久しい状況です。抗がん剤をやめる大事な話を3分でするのはとても無理です。

 現場の医師は、忙しさを理由に、患者さんとコミュニケーションをとれない、あるいはとらないようにしている。抗がん剤を続けたいという患者さんを、説得してやめさせるよりも続ける方が楽と考えがちです。こうなると、抗がん剤がやめられない。もしくは、患者さんが治療をやめることに納得できないまま、根拠のない怪しい治療や民間療法に走ってしまう。

■不足するプロフェッシ…

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