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【まとめて読む】患者を生きる・食べる「味覚障害」

 お茶販売店に勤める、東京都内の女性(69)はいつからか何を食べても味が感じられなくなった。腐ったみそ汁を飲み干してしまったこともあった。味覚障害と診断を受け、味覚外来で不足していた亜鉛を補う治療を受けた。根気よく治療を続け、2年半たった昨年11月、お茶の微妙な香りの違いを感じられるまでに回復した。

腐ったみそ汁に気づかず

 2015年の夏、東京都内に住む女性(69)は仕事を終えて帰宅し、その日の朝に作ったみそ汁を温めなおして晩ご飯に食べていた。直後に妹が帰宅。共に食卓を囲み、みそ汁を口に運んだ。妹は一口すすると、「うわっ、これ腐ってる。これがわからないなんておかしいよ」と言った。

 女性はすでに、おわん1杯分のみそ汁を飲み終えていた。だが、妹が言うような変な味はしなかった。食事の味も香りも感じていないことをはっきり自覚した。

 女性は40年以上、日本茶を販売する小売店に勤めている。その時、ある客の言葉を思い出した。数年来、毎年同じ茶葉を買ってくれる常連だ。ある日、「おたくのお茶の味が落ちた」と連絡が入った。茶葉の仕入れ先は変えていない。なぜだろうと思っていた。

 半年後、その客から再度連絡があった。「味覚障害と診断されて、治療を受けている。味が落ちたなんて言って、申し訳なかった」。もしかしたら自分も、味覚障害なのかもしれない。

 このところ、お茶の香りも味もしないことを、うすうす感じていた。だが「味がわからない人が売っているお茶だと知れたらどうなるか」。だれにも言えずにいた。

 店では、直接仕入れに関わっているわけではない。しかし、仕入れの時期にはスタッフ全員で新茶を吟味する。産地ごとにグレードの違うお茶をいれて味や香り、色などの違いを比較する。この年の春は、ことごとく味の違いがわからなかった。他のスタッフらが「こっちのほうが良い香り」と言っても、「あっ、そう?」とごまかしてやり過ごした。

 高血圧症の治療で通っていた医院で相談し、16年1月に日本大学板橋病院(東京都板橋区)の味覚外来を受診した。検査の後、担当医の田中真琴(たなかまこと)さん(41)は「味覚嗅覚(きゅうかく)障害です」と言った。

 この女性の場合はっきりとした原因はわからないという。亜鉛不足や、薬の副作用などで起こる。高齢者に多く、うつなど精神的な疾患に伴うこともある。田中さんは続けた。「今のところ、味覚異常を治す画期的な薬はありません。治療は長期戦になります」

薬で治療、長期戦も覚悟

 お茶の販売店に勤める、東京都内の女性(69)は味やにおいを感じず、腐ったみそ汁を飲みほした。2016年1月、日本大学板橋病院(東京都板橋区)で味覚嗅覚(きゅうかく)障害と診断された。

 味覚障害は、味を感じるセンサ…

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