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医の手帳・認知症の進行期(3)

 認知症が進行すると、会話が減り、動きも悪くなってきます。不安、焦燥、興奮、暴力、介護拒否、一人歩き、幻覚、妄想、意欲低下、不眠などの行動心理症状も減っていきます。この状態が認知症における人生の最終段階です。

 最終段階に入ると食事ができなくなってきます。嚥下(えんげ)障害と言って、飲み込みが悪くなって食べられなくなる人もいます。しかし、多くは食事に興味を示さない、拒否する、という状態になります。栄養がとれないと当然生きてはいけません。食べられるものを少しずつ食べさせたり、液体の栄養食品を飲ませたりという工夫が必要です。口から食べられるだけ食べてもらい、あとは何もしないと、認知症の最終段階の人は、苦しみも痛みも訴えず、穏やかに最期を迎えることが多いのです。

 少しでも長く生きたいという人や、家族が少しでも長く生きてもらいたいという希望をもっている場合には、胃ろうといって、直接胃に管を入れ、そこから栄養剤や水分を入れるという方法もあります。この方法を使うと、余命は延びることが多いですが、認知症の進行を止めることはできません。

 最近は、最期まで尊厳を尊重した医療を目指そうという意見が多くなっております。自分の生き方を決めるのは、本来、家族ではなくて自分自身です。もし、認知症になった場合、人生の最終段階で、自分はどのような医療を希望するのか。胃ろうなどの処置を希望するか、何もしないことを選ぶのか、などを元気な時から決めておくことが望まれています。

 もしもの時にどうしてほしいかを、あらかじめ家族や、医療・介護スタッフと話し合っておく。これを「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と呼んでいましたが、なじみやすいように、厚生労働省では昨年11月、「人生会議」という愛称を使うことを決めました。今のうちから、人生会議を行ってみませんか?

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(総合リハビリテーションセンターみどり病院 成瀬聡院長)