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 僧衣(そうい)を着て車を運転していた僧侶が昨年9月、福井県警に交通違反切符(青切符)を切られた。僧侶は反発し、ツイッターでは僧衣でも自由に動けることをアピールする動画が話題を呼んだが、県警は26日、一転して「違反事実が確認できなかった」として送検しない方針を明らかにした。

 県警によると、福井市内で昨年9月、僧衣姿で軽乗用車を運転する僧侶を警察官が見つけ、停止を求めた。着衣を確認すると、白衣(はくえ)の裾が両足の太ももやひざ、足元に密着し、布袍(ふほう)と呼ばれる上着の両袖が垂れ下がっていた。とっさにブレーキをかけられず、シフトレバーなどに袖が引っかかる恐れがあると判断し、青切符を切ったという。

 しかし、僧侶は反則金6千円の支払いを拒否。僧侶が所属する浄土真宗本願寺派も「僧衣での運転が危ないなんて聞いたことがない。裁判になっても宗派として全面的にバックアップする」と反発していた。

 さらにネット上では、僧衣姿で二重跳びやジャグリングをする動画がツイッターに投稿され、「#僧衣でできるもん」のハッシュタグで拡散した。100万回以上再生された動画もあり、BBCなどの海外メディアでも報道された。

 県警はこれまで、朝日新聞の取材に「和服が一律に違反ではない。着方によって違反になる」と説明していたが、26日に「本日までに切符を切った方を訪れ、改めて県警本部で内容を精査したところ、証拠の確保が不十分で違反事実が確認できなかったため、本件については送致しないこととした旨をお伝えした」とのコメントを明らかにした。

 県警が適用したのは、「運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」という福井県道路交通法施行細則の規定。昨年1年間では、ほかにも僧侶1件、着物の女性2件で青切符を切ったという。

 県警によると、衣服に限らず、駐車違反や信号無視で青切符を切られて反則金を払わないと、約1カ月後に通告書と納付書が送られる。さらに反則金を拒み続けると検察庁に送致され、起訴される可能性もある。(南有紀、岡田匠)