【スライドショー】テニスの全豪オープンで優勝した大坂なおみ選手の戦いを振り返る
[PR]

(26日、テニス全豪オープン決勝)

 サーブを決めた大坂が、その場にしゃがみ込む。激闘を制し、うつむいて泣いた。「勝つことを夢見てきた。チームのみんなに感謝します」

 2014年の全米から4連勝し、「絶対女王」と呼ばれたセリーナ・ウィリアムズ(米)以来となる4大大会連勝の偉業と、世界ランキング1位を同時に射止めた。「大坂時代」の幕開けといえるだろう。

 この2年、4大大会の女子は毎回、優勝者が入れ替わってきた。ランキングでも、長く1位に君臨した37歳のセリーナが2年前の全豪後に産休に入って以降、1位の座についたのはシモナ・ハレプ(ルーマニア)やアンゲリク・ケルバー(ドイツ)ら5人。平均年齢は27・4歳。21歳の大坂は、その世代を突き抜けた。昨年同時期の72位からの大躍進だ。

 ハレプやケルバーらはミスは少ないものの、絶対的な武器に欠ける。大坂には元々、他を圧倒するパワーがある。さらに、不安視されていた精神面も挫折を経て、たくましさを増した。

 全米で初優勝した昨年9月。東京に凱旋(がいせん)すると、大フィーバーに困惑した。好きな原宿に行けないほど忙しかった。ハイチ出身の父と日本人の母を持ち、3歳で米国へ移住した自分のアイデンティティーも質問され、戸惑った。「色々な国を代表していることをどう思うか」と聞かれ、「そういう質問を受けると、凍りついちゃう」と漏らした。

 環境の急変に心が追いつかない。10月、北京での大会で思い通りのプレーができず、試合中に泣きだした。その後の世界ランク上位選手が集う大会でも敗れ「ニューヨークでの優勝から物事が早く進んだ」と、また泣いた。

 11月、父の祖国ハイチを訪ねた。水をくむために何キロも歩く貧しい人々を見た。「自分は恵まれている」と謙虚な気持ちになれたという。「物事が思い通りに運ばなくとも、受け入れる」

 強打で相手を圧倒できないと、気がすまなかった性格が変わった。この全豪は7試合中、フルセットが4試合。この夜の決勝。あと1ポイントで優勝というところから巻き返され、第2セットを落とした。それでも気持ちを切らさず、我慢比べを制した。「世界ランク1位が私のゴールじゃない。どの大会も勝ちたい」。来夏の東京五輪、その先へ期待は膨らむ。(メルボルン=富山正浩)