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遠藤乾=国際

△北田暁大「ソーシャル・リベラリズムは可能か ブレア的『第三の道』を超えて」(Journalism1月号)

 北田の論考は、「ソーシャル・リベラル」という立場と戦略を打ち出す。それはまず、かつて社会党が担った「革新」から民主党が標榜(ひょうぼう)した「リベラル」や「公共」にいたる錯綜(さくそう)した言説空間の推移の中で、「社会」的なるものが捨象され、自由主義的な経済政策と左派的理念の結合にたどりついたことを批判的に追跡する。そのうえで、資本主義的な市場を前提とし、経済成長のなかで、雇用・労働(環境)を確保し、価値の多元性と公正性を担保する、再配分重視の立場を定式化する。そこからさらに、差別から貧困、基地から歴史問題、婚姻・育児から労働環境の保障までのさまざまな問題を引き受け、それらに理性で向き合い、その間の整合性を考えるような、「知的などぶ板戦略」を提示している。知と現実とを日本の土壌に即して交錯させているこの論考は、次の方向性を考えさせる好論となっている。

△ピーター・A・ホール「幻想に覆われたイギリス政治 ブレグジットと果たされなかった約束」(フォーリン・アフェアーズ・リポート1月号)

 英国の欧州連合(EU)離脱をめぐるこの間の経緯を「政治的ホラームービー」とくくり、背景を分析しているのが、高名な比較政治学者のピーター・ホールである。彼によれば、イギリス政治はすっかり幻想に包み込まれ、人々は現実が見えていない。頑迷な離脱派は、メイ首相の離脱合意案をEUへの「隷属」として非難し、もっと良い選択肢があるかのようにふるまう一方、左派の労働党は、伝統的な支持基盤である労働者階級が望むとおり、ブレグジットは受け入れるとしつつも、それはEUの加盟国だったときと同様に好ましい条件をEUから引き出した場合だけだとし、ファンタジーに浸っているという。

△小笠原欣幸「台湾統一地方選の本質を見誤るな」(Voice2月号)

 台湾選挙分析の第一人者による11月台湾地方選の検討である。それは、もう来年に迫った総統選の「前半戦(前哨戦でなく)」なのだが、そこで蔡英文政権は自滅した。繁栄も自立も同時に求める強烈な「オレ様」選挙民を前にして、実質賃金が上昇せぬまま改革を推し進め、その改革の是非を問う選挙戦を終盤に繰り広げたのが決定的な失策だったとする。背後には、民進党のゆがんだ自意識があり、すでにエスタブリッシュメントになっているのに、台湾民主化を推進してきたのは自分たちだといううぬぼれがある。後者が事実だとしても、選挙民はそれへの負債はすでに先回の総統選と立法議会選で返したと考えている。来年の総統選では、国民党が有利で、民進党と蔡総統には限りなく赤に近い黄色ランプがともった。日台関係も冷え込む見込みだ。

木村草太=憲法・社会

△沖縄弁護士会「『辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例』に基づく県民投票が全県下で実施されることを強く求める会長声明」(沖縄弁護士会公式サイト、1月11日)

 2月24日実施予定の辺野古埋め立ての是非を問う沖縄県民投票。宜野湾、宮古島、石垣などいくつかの自治体が、投票事務への協力を一時拒否し、全県民の参加が難しい状況に陥った。沖縄弁護士会は、市町村議会や長の判断で、投票権を侵害することについて、「県民から県の意思形成に参加する機会を奪うものであって、決して許されるものではない。また、同じ投票資格者でありながら、たまたま居住している地域によって投票できる者とできない者が生じることは、法の下の平等の見地からも、極めて不合理というべきである」と会長声明を出した。

△桐山桂一「ゴーン事件と人質司…

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