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【2014年2月5日朝刊】

 猪瀬直樹前東京都知事が辞任し、新たな知事を選び出そうとする段階になって、「原発の是非」が都知事選の争点の一つとして浮上してきた。しかし、東京都内に原発は一基もない。だから「脱原発云々(うんぬん)というのは国の施策の問題で、都知事選とは関係がない」という意見もある。

 都知事選のレベルではそうだろうけれども、しかし「原発反対!」を口にしたい人たちはいくらでもいて、この人たちの声が公式に反映される途(みち)はない。明言はしないが、日本の首相は原発の再稼働に前向きであるらしく、「原発再稼働に関する国民投票」などというものはどうやら予定されておらず、国会の衆参両院で与党が安定多数を確保している状況からして、国政選挙が近くに行われる可能性は少ない。だから、原発が一基も存在しない東京の知事選で「脱原発」が争点になれば、そこで「一票を投じたい」と思う人は出てくるだろう。

 私が考えるのは、「脱原発」が都知事選の争点となりうるかどうかということではなくて、「あまり関係のないところに批判の票が集まるのが、日本の政治の特徴なのかな?」ということだ。

 昨年の参議院選挙で自民党が勝利して、衆参両院のねじれ構造が解消した。それまでは、与党が衆議院の多数派であっても、参議院の多数派は野党で、だからこそ重要法案がなかなか国会で成立しない「決められない」状態が続いたけれど、考えてみれば、この状態を作り出したのは国民だ。

 4年で任期満了の衆議院よりも、3年ごとに選挙のある参議院の方が投票の機会は多い。それで与党のあり方に疑問を持つ日本国民は、参議院選挙で野党に投票する。衆議院選挙で政権交代を実現させる前に、日本人は参議院選挙で与野党逆転のねじれ現象を起こす。自民党政権の時でも、民主党政権の時でもそうだった。余計な勘繰りかもしれないが、日本人は自民党政権を交代させるよりも、自民党政権をそのままにして批判の声をぶつけることの方が好きなのかもしれない。「脱原発」「反原発」を訴える候補者が出てきた都知事選を、「安倍内閣の今後の政権運営の試金石」と言うような考え方があるのを見ると、「これはかつての参議院選挙のような性格を持つものなのか?」と思ったりもして、「日本ではそういう考え方をするのが不思議ではないのだな」と思う。

 それは「本丸を攻めずに違うところを攻める」というやり方ではあるけれど、日本の政権与党である自民党は、どうやらこのこと――へんなところで批判の声が渦巻いている、そのことが嫌いらしい。

     ◇

 昨年の暮れに特定秘密保護法が国会で成立したけれど、「問題が多い」と言われているこの法律のどこが問題なのかを、分かりやすく説明出来る人がどれだけいるのだろうか?

 これに反対する側は様々な問題…

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