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 発達障害のある人たちが航空機に乗って旅行する流れを模擬体験するツアーが、成田空港であった。全日本空輸(ANA)と成田国際空港会社(NAA)の主催。東京、千葉、神奈川、埼玉、群馬の各都県から5~48歳の障害者とその家族計43人が、周りのスタッフに支えられながら「飛行機の旅」を楽しんだ。

 発達障害のある人は慣れない空港や飛行機でパニックを起こすことがあり、家族は飛行機での旅行をあきらめている――。そんなことを聞いたANAの社員の発案がきっかけで「事前に体験することで気軽に飛行機旅行ができるように」と企画された。2回目で前回は対象が子どものみだったが、今回は大人にも広げて14日に開催された。

 参加者たちは出発ロビーの案内カウンターで「トイレはどこですか?」などと質問。機内に持ち込んではいけない物をクイズ形式で学び、搭乗手続きや保安検査を済ませると、航空機の中へ。

 実際には動かなかったが、シートベルトの着用や飲み物のサービスなどを経験した。「着陸」すると、機長から「ちょっとだけドキドキするかもしれませんが、飛行機は快適でわくわくします。空の上でお目にかかれる日を乗務員一同、楽しみにしております」とアナウンスが流れた。

 家族4人で参加した埼玉県白岡市の木綿(もめん)健人(はやと)君(9)は「(座席に)テレビとテーブルがあって楽しかった」。父基二(もとつぐ)さん(40)は「人が多い所、新しい場所は気が散ってしまう。慣れるにはいい機会でした」と話した。

 ツアーは日本発達障害ネットワーク(東京)が協力して実現した。児童青年精神科医で理事長を務める市川宏伸さん(73)は「発達障害のある人は見た目では分かりにくい。周囲の理解を深め、どんな交通機関でも気軽に乗れるような社会になってほしい」と話す。

東京五輪・パラに向け「使いやすく」

 今回のツアーを主催したNAAとANAは、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、発達障害がある人の支援者らと連携し、使いやすい施設づくりや旅客サービスに力を入れている。

 NAAは空港トイレの改修などを進める一方で、発達障害や知的障害がある人らが落ち着ける小さな部屋を昨年、二つ設けた。

 さらに発達障害がある人や子どもたち向けに空港での手順を分かりやすく説明したパンフレット「なりたくうこうからりょこうへいこう!」を作成中。ホームページに載せる予定で、CS推進部の山田浩介さん(35)は「予習することで旅行をしやすくしたい」。イラストを指でさして意思疎通ができる「コミュニケーション支援ボード」も準備している。

 ANAは、飛行機内での過ごし方などをイメージできるパンフ「そらぱすブック」を昨年に改訂した。また、機内トイレの吸い込む音を聞けるなど疑似体験できる動画も昨年からホームページで公開している。

 ツアーを中心となって進めたANA品質企画部の堯天(ぎょうてん)麻衣子さんは「少しでも空港や飛行機を身近に感じていただけるよう取り組みを継続していきたい」と話す。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(黒川和久)