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 1991年春、10年勤めた福井県立博物館から京都国立博物館に転じたとき、先輩の研究員Aさんが言った。「これで京博学芸課を、北陸全県の出身者が制覇したぞ!」と。当時の京博研究員16人のうち、新潟県を含む北陸4県の出身者が1人ずつ計4人。つまり全体の4分の1を北陸勢で占めることになったのだ。

 風変わりな歓迎の言に僕も応じた。「そりゃ北陸は遊ぶとこ少ないし、冬は雪に埋もれて、学問するしかないですもんね」。そして続けた。「もっと言わせてもらえば、我が町武生こそ、絵画史の源豊宗、彫刻史の西川新次という希代の日本美術史家を出したんですよ。知ってました?」

 北陸自慢に同調し、武生自慢で返す。たわいないお国自慢と思うなかれ。僕は大真面目だった。なぜなら「その土地が人を育てる」と、ずっと思ってきたからだ。

 古代の越前国府が中世に府中という町へと発展し、真ん中を北陸道が通って、江戸時代までに諸宗の寺院が立ち並ぶ。さらに打刃物や指物簞笥(さしものたんす)など多くの職人・問屋が集まり、大店(おおだな)の旦那衆が遊ぶ料亭・茶屋もにぎわった。そんな町があったから、掛け値なしの古いもん好き、歴史・思想好きな僕が存在する。

 この冬、福井県立美術館の企画展を観(み)て「土地が人を育てる」ということを改めて実感した。今月6日まで開催された「Reborn~未来へのアップデート~Ⅱ 未来を発明」。福井出身の40歳以下の作家9人が県美の所蔵品を選び、それにインスパイアされた新作、自作を併せて展示するというきわめて珍しい展覧会だ。

 制作の方向性も表現もまったく…

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