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医の手帳・風疹(1)

 風疹は、風疹ウイルスによる感染症です。ウイルスが鼻やのどから体に入り、約2~3週後に熱と一緒に体全体に淡い赤いぽつぽつが広がります。多くは「風邪かな」というくらいの軽い症状で、ほとんどが自然に治ります。この風疹が、昨年の夏以降、国内で大流行しています。

 特にかかっているのは、30~50代の男性です。理由は「ワクチン」の接種歴にあります。風疹のワクチンは今、麻疹と一緒に1歳時と小学校に入る前に全ての子どもに2回接種しており、かかる子どもはいません。一方、昔は接種が1回だったり、中学校の女子だけに接種していたりしたため、この年代の男性が風疹にかかっているのです。

 風疹の最大の問題は、妊婦さんが感染した場合です。妊婦さんが妊娠初期(妊娠10週ぐらいまで)に感染すると、胎児が「先天性風疹症候群」という病気にかかることがあります。この病気はお子さんが胎内にいるうちから、ウイルスが目、耳、心臓などに影響を与え、生まれた後、耳が聞こえにくい、目が見えにくい、心臓からの血液の流れに問題があるなどの症状が出ます。一度かかるとお子さんは一生、それらの後遺症と付き合っていかなくてはいけません。

 また、風疹ワクチンの中には、生きたウイルスが入っているので、妊婦さんに接種することはできません。風疹が流行すると、妊婦さんは予防する手段がないのです。実は、2012~13年にも同様の風疹の大流行があり、分かっているだけでも45人の先天性風疹症候群のお子さんが生まれ、現在も後遺症と闘いながら懸命に生きています。教訓が生かされないまま、昨年、風疹が大流行したことは、大人の大きな責任が問われる残念な事実です。

 風疹はワクチンで予防できる病気です。お子さんを守るために我々にできることは、風疹にかかる可能性のある人にワクチンを積極的に接種することです。

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野 斎藤昭彦教授)