[PR]

 1985年に熊本県松橋(まつばせ)町(現・宇城(うき)市)で男性が殺害された「松橋事件」で、殺人罪などで服役した宮田浩喜(こうき)さん(85)の再審初公判が8日、熊本地裁(溝国禎久(よしひさ)裁判長)であった。検察側は殺人罪の有罪立証をせず、弁護側は早期の無罪判決を求め、即日結審した。3月28日に無罪判決が言い渡される見通し。

 事件は85年1月8日、松橋町の町営住宅で男性(当時59)の遺体が見つかり、熊本県警は、任意の取り調べの末に知人の宮田さんが犯行を「自白」したとして殺人などの疑いで逮捕した。宮田さんは一審・熊本地裁での公判の途中で否認に転じ、無罪を主張したが、90年に懲役13年の刑が確定した。

 弁護団は97年、熊本地検が保管していた証拠を閲覧。宮田さんが「凶器に巻き付けて使い、犯行後に燃やした」と供述したシャツの左袖を見つけた。さらに、凶器とされた小刀と傷口が一致しないとする鑑定結果も得て、2012年に再審を請求。昨年10月に最高裁が検察側の特別抗告を棄却し、再審開始が確定した。

 初公判に向けた法曹三者の協議では、検察側が殺人罪について有罪立証をしない方針を明示。熊本地裁は、高齢の宮田さんの体調を考慮して早期に判決を出すため、宮田さんの供述調書など有罪判決の支えとなった証拠を調べない考えを示していた。(杉山歩、一條優太)

     ◇

 〈松橋(まつばせ)事件〉 1985年1月、熊本県松橋町(現・宇城市)の町営住宅で男性(当時59)が殺害され、知人の宮田浩喜さん(85)が犯行を「自白」したとして県警に殺人容疑で逮捕された。一審・熊本地裁での公判の途中で否認に転じたが、90年に懲役13年の刑が確定した。弁護団は97年、開示された証拠の中から、宮田さんが「犯行後に燃やした」と供述したシャツの左袖を発見。凶器とされた小刀と傷口が一致しないとする鑑定結果も得て、2012年に再審を請求。昨年10月に最高裁が検察側の特別抗告を棄却し、再審開始が確定した。

松橋事件の経過

《1985年1月》

熊本県警が宮田浩喜さんを殺人容疑で逮捕

《86年12月》

熊本地裁が宮田さんに懲役13年の判決

《90年1月》

最高裁が上告を棄却

《97年6月》

弁護団がシャツの左袖を発見

《99年》

宮田さんが刑期を終え出所

《2012年3月》

宮田さんの成年後見人の弁護士が再審請求

《16年6月》

熊本地裁が再審開始を決定

《7月》

熊本地検が即時抗告

《17年11月》

福岡高裁が即時抗告を棄却

《12月》

福岡高検が特別抗告

《18年10月》

最高裁が特別抗告を棄却。再審開始が確定

《12月20日》

三者協議で、検察側が有罪立証しない方針を伝える

《19年2月8日》

再審初公判

《3月28日》

判決公判