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 「日本人でも外国人でもない自分って何者?」。そんな悩みを共有できる若者の居場所「Rainbow(レインボー)スペース」が発足から1年を迎えた。中国にルーツがある学生たちが横浜市で運営し、自分のバックグラウンドを誇りに思う喜びを感じ合おうと、活動の幅を広げている。

 「明日から定期テストなんだ」「家族は大学に進学すべきだって言うけど、意味があるとは思えない」――。月曜日の午後4時半過ぎ、なか国際交流ラウンジ(横浜市中区)の一室に中国語があふれる。

 外国から来日したり、保護者が外国人だったりする中高生や大学生などのためのスペース。お茶やお菓子をつまみながら、自由に会話したり、勉強したり。ゲームや演劇大会を行う日もある。多いときは60人ほどが集まる。ある男子高校生は「学校には中国人はいるけど、変に思われるかもしれないので日本語で話す。でもレインボーでは中国語で気楽に話せる」と、磯子区から通う。

 もとになったのは、ラウンジで2009年に始まった外国人中学生向けの学習支援教室だ。高校受験の支援が目的だが、「フタを開けてみたら、高校に入れたから万々歳というわけではなかった」と、ラウンジ館長で中国籍の中村暁晶(あき)さん(45)。同じ国の友達と離れたり、進路の情報を集めるのに苦しんだりと悩みを抱えた卒業生たちが、中国語の話せる中村さんを頼り、ラウンジを訪れた。

 そんな学生たちの受け皿として、レインボーは昨年1月に始まった。ラウンジを運営する横浜市国際交流協会とともに、卒業生の高校生ら約12人も、スタッフとして企画・運営を担う。

 スタッフの一人で大学院生の林錦園さん(24)は、中学2年生で来日。日本語を学び、周囲から浮かないようにするために必死で、「もう二度と他の言葉は学びたくないと思うくらい、苦しすぎた」。大学に進んで留学生と出会うと、「私は自分の意思で日本に来た人とも違う。日本人にも中国人にも理解されない自分は何者?」と悩んだ。

 レインボーでは、「苦しすぎた」経験を、後輩たちのために役立てることができている。「ここでは、複数の文化を背景にもつ自分を肯定できる。自分を何かのカテゴリーに当てはめようとしていたけど、今は本当の自分を見つけた」と話す。

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 学生たちのパワーは、レインボーの外にも広がっている。「地域に暮らす外国人とつながりをもちたい」という町内会の声に応え、夏祭りや餅つきのチラシを翻訳したり、準備や片付けをしたり。区主催の外国人向けツアーでは通訳を務めた。様々な活動の魅力から、学習支援教室の卒業生だけでなく、タイやフィリピンにルーツがある学生たちも参加するようになってきた。

 「日本の基準で比べられてきた彼らは、どうしても自分を低く思ってしまう。逆に、二つの文化をもつことを強みだと思える経験を積んでもらいたい」と中村さん。そんな居場所作りを、学生たちとともに目指している。参加希望などの問い合わせはラウンジ(045・210・0667)へ。(木下こゆる)