拡大する写真・図版 「新井賞」を受賞した本を売り場で目立たせる新井見枝香さん=東京都千代田区の三省堂書店神保町本店、平岡妙子撮影

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 芥川賞・直木賞の発表と同じ日に、個人的に最も面白かった本に独断で賞を出している書店員がいる。三省堂書店神保町本店(東京都千代田区)の主任新井見枝香(みえか)さん(38)で、その「新井賞」には賞状も賞金もない。1月に発表した9回目は、はるな檸檬(れもん)氏の漫画「ダルちゃん」(小学館)で、「幸せになるには自分に正直に生きるのが大事ということが、伝わりやすく描かれている」が選考理由だった。

 新井さんは最初はレジ打ちのアルバイトだった。文芸書が好きで、勝手に本を紹介するポップを作り、ツイッターでお気に入りの本を紹介した。好きな作家を呼んで閉店後の店内でトークイベントを開き、回を重ねるうちに「新井ナイト」と呼ばれるようになった。

 薦めた本が売れるとうれしく、感想を伝えに来てくれる常連客との間で信頼関係も生まれた。

 新井賞を始めたのは2014年7月で、千早茜(あかね)氏の小説「男ともだち」が同年上半期の直木賞を逃したことがきっかけだった。「これが無冠だなんて。だったら私が賞を出そう。死ぬ気で売るから」と決めた。

 当時は有楽町店の契約社員で、「新井賞」のポップを作り、帯をつけたところ、同店では直木賞を受賞した作品より売れた。書店員が薦める本を信頼してくれる客が、想像よりも多いことに驚き、その後は芥川賞・直木賞の発表と同じ日に、賞を出している。賞は勝手に出すため、作家へは連絡しない。

 今回選んだ「ダルちゃん」は漫…

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