【動画】繁殖シーズンの始まりを告げるヤリイカの卵塊=岡田和彦撮影
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 海中の季節の移ろいは陸上から2カ月ほど遅れる。伊豆の海もこれからが厳冬期だ。夏から秋、黒潮に乗って南の暖かい海からやって来た季節来遊漁はすっかり姿を消した。しかし、次の世代を生み出す営みは既に始まっている。静岡県伊東市川奈では、繁殖シーズンの始まりを告げるヤリイカの卵を見ることができる。

 現地ガイド・川村圭吾さん(47)の案内で川奈漁港近くのポイントに潜った。この日の水温は16度。ドライスーツにフード、手袋の完全装備でなければ、とても海に入る気にならない。

 水深11メートル。積み重なった岩の隙間を川村さんが指さす。ライトを当てると、房のような物が白く光る。ヤリイカの卵塊だ。岩の下にびっしりとつり下がっている。潮が動くのに合わせて揺れる。数十個はある。半透明の膜の中には丸い卵がびっしり。別の場所では、目の黒い点や足の形の見分けがつく卵もあった。

 ヤリイカは夜の間に産卵する。卵は2~3週間後の夜に孵化(ふか)し、子イカが一斉に泳ぎ出す。川奈ではこれからコウイカ、サビハゼ、ヒメギンポ、アオリイカなどの産卵が続き、日頃は深場にいるマトウダイやアンコウなども産卵のためやって来るという。(岡田和彦)