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 全国の警察が昨年1年間に認知(把握)した刑法犯は前年より10・7%少ない81万7445件(暫定値)で、16年連続で減少し、戦後最少を4年続けて更新した。一方、虐待の疑いがあるとして警察が児童相談所(児相)に通告した子どもの人数や、配偶者などパートナーに対する暴力(DV)被害件数が過去最多となり、特殊詐欺などの被害も深刻だ。

 警察庁が7日発表した。同庁の栗生俊一長官は記者会見で「特殊詐欺やサイバー犯罪のような被害者と対面しない犯罪が増加するなど犯罪の傾向に変化がみられる。児童虐待、DVの問題にも留意していく必要がある。犯罪情勢は依然予断を許さない」と述べた。

 発表によると、児相に通告した18歳未満の子どもは8万104人と、22・4%増えた。言葉による脅しや無視など子どもの心を傷つける「心理的虐待」が5万7326人と約7割を占め、「身体的虐待」が1万4821人、「育児放棄(ネグレクト)」が7699人、「性的虐待」が258人。心理的虐待では、子どもの前で配偶者らに暴力を振るうといった「面前DV」が目立つという。児童虐待を事件として摘発した件数も最多の1355件。

 DV被害は7万7482件。被害者の約8割は女性だが、男性の割合が年々増えている。摘発件数も8・1%増の9019件と、最多を更新した。

 一方、刑法犯全体の状況をみると、窃盗をはじめ、ほとんどの罪種で減少が続いた。凶悪犯は殺人や放火がやや減る中、強制性交等は18・0%増えた。

 特殊詐欺の被害件数は1万6493件。前年に比べて9・4%減ったが、14年からの5年間で23・2%増えている。

 手口別では、子や孫などになりすます「オレオレ詐欺」が7・5%増の9134件で、全体の半数以上を占めた。「架空請求詐欺」が4852件(15・7%減)、医療費や税金が戻ると偽る「還付金詐欺」が1910件(39%減)。検挙件数は11・2%増の5162件と4年連続で増えた。

 還付金詐欺などの減少は金融機関などの対策の効果とみられる。ATMを操作させて現金を振り込ませる手口の被害を防ぐため、職員らによる声かけや一定期間振り込みがない口座の取引を制限する対策が進む。半面、警察官などを名乗って自宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取る方法が増えたという。(小林太一、編集委員・吉田伸八)