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 昨年11月にさいたま市浦和区のJR北浦和駅前の火災で全焼し、閉店に追い込まれた居酒屋が、近隣での3月開店をめざし、再開のための資金をネットのクラウドファンディングで募っている。

 「ここに店がありました」。火災で全焼し、解体された雑居ビルの跡地の前で話すのは、ビル1階にあった居酒屋「炭火焼もりのした」のオーナー、森下亮(まこと)さん(36)だ。

 7年間、都内の居酒屋で修業し、2014年に開店した。焼き鳥や刺し身が自慢で、吟味した日本酒などもそろっていた。4年間継ぎ足したタレでつけた焼き鳥は「さっぱりとした味付けが客の間でも好評だった」と森下さん。

 18年3月からは「少し高くても、さらにおいしいものを提供したい」と値段を引き上げた。それでも客足は好調で、12月も忘年会の予約で埋まり始めていた。その矢先での火災だった。

 11月28日午前11時半ごろ、肉を搬入しようとしていた業者から「店が燃えている」と市内の自宅に連絡があった。すぐにかけつけたがビルは火に包まれていた。燃え続ける店を前に立ち尽くした。「大丈夫という思いと、もう無理かなという気持ちで整理がつかなかった」

 雑居ビルは約7時間半燃え続け、全焼した。ビル内の別の店舗からの失火が原因とみられる。2階が崩れ、店は跡形もなかった。

 閉店も考えた。「大丈夫だったか」と、火災直後に知人や客からの電話が相次いだ。普段連絡を取らない父からも電話があった。食事に誘われ「次の物件を探せ。金は何とかする」と告げられた。

 火災翌日、全焼した店への立ち入りが許された。何も残っていないと思っていたが、4年間継ぎ足してきたタレの入った茶色いつぼがあった。「これも何かの縁だ」と再開を決断した。

 開店は3月6日を予定。元のビルから徒歩約1分の2階建て店舗を借りた。森下さんは「火災以前のように居心地のいい空間を提供できれば」と話している。

 クラウドファンディングは2月28日まで募り、目標額は100万円。9日現在の金額は28万円だ。詳細はHP(https://camp-fire.jp/projects/120678/activities/72568別ウインドウで開きます)へ。(米田悠一郎)