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 奨学金の返還をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額の支払い義務しかないことを伝えずに全額を求めてきた問題で、機構は新年度から保証人になる人に伝える一方で、すでに返還中の保証人には伝えない方針を決めた。機構から知らされないまま返還を続ける保証人は延べ1200人を超える見通しだ。専門家は不公平だ、などと指摘している。

 奨学金の場合、保証人(4親等以内の親族)は連帯保証人(親)と異なり、民法の「分別の利益」によって支払い義務が半分になる。朝日新聞は昨年11月、機構がその旨を説明しないまま保証人に全額請求し、応じなければ法的措置をとると伝えていたと報じた。これを受けて機構は、返還を終えた人や裁判で返還計画が確定した人を除いて、機構と協議して返還中の人などが分別の利益を主張した場合には減額に応じる方針を示した。

 機構によると、減額される可能性があるのは、全額請求を受けた保証人のうち機構と協議して返還中の人と、督促に応じて返還中の人を合わせた延べ1353人。このうち分別の利益を主張して減額を認められたのは延べ75人で、残る9割超の延べ1278人は機構から知らされないまま全額分の返還を続けている。返還中に分別の利益を主張すれば、機構は減額に応じるとしている。

 機構は公式ウェブサイトの「保証人について」の項目に分別の利益に関する説明を入れたほか、新年度から契約する保証人に契約時の書類などで説明することにした。返還中の保証人に直接伝えない理由について、遠藤勝裕理事長は「伝えれば事実上、半額を回収できなくなり、その分は税金で補塡(ほてん)せざるを得なくなるため」と話している。

 内閣府消費者委員会で委員長を務めた河上正二・青山学院大法科大学院教授は「保証人に法知識がないことを利用して回収するのは不公正ではないか。また、一部の保証人にしか情報を提供しないことになり、不公平だ。公的な機関として適切とは言えない」と指摘する。(諸永裕司、大津智義)