男として生きるのはもう限界 震災を機に、踏み出した

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渡辺朔
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 ふるさとの町並みが黒い津波にのみ込まれてゆく。高台に避難した住民は立ち尽くしたまま、見つめるしかなかった。8年前のあの日、その中に「にゃおさん」もいた。男性として違和感を抱えながら生きてきた半生が、津波で消し去られたと感じた。「震災がなければ今の自分はない」

 27歳。ネットでは「にゃおさん」と名乗る。

 思春期に声変わりし、身長がぐっと伸びた。体は男らしくなったが、好意を寄せる相手は女性ではなく男性だった。そんな自分が嫌で、一人称はわざと男っぽく「俺」と呼んだ。

 心と体の乖離(かいり)、苦…

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