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シリコンバレーを生きる

 サンフランシスコは全米でもホテルの宿泊費が高い都市の一つだ。需要と供給を反映し、イベントがある日は通常の2、3倍に跳ね上がる。宿泊費は若者だけでなく出張者にも頭痛の種だ。そんな町に日本のカプセルホテルを持ち込んだら。田中優祐さん(28)はそう考えた。苦労の末、市中心部の二つのホテルにカプセル20台を入れたところ、連日ほぼ満室の人気に。ところが事業が軌道に乗りはじめた矢先、思いがけない出来事が起きる。

米国で起業に目覚める

 初めて米国に来たのは2013年。大学の交換留学で1年間、シアトルの大学に通った。授業では実際に起業をしてみるプログラムがあり、現地で流行し始めたけん玉を売る店をやってみた。観光スポットにブースを構え、大道芸人に交じって実際に遊んで見せたところ、1個2ドルで仕入れた商品が10倍の20ドルで売れた。単純だが、初めて自分でものを売る新鮮な体験だった。この授業で立ち上げたビジネスで、そのまま起業家になった同級生もいた。「こんなに簡単に起業しちゃうんだ」。日本との差を肌で感じた。

 帰国後も、「いつか米国に戻って自分も本格的に起業してみたい」という思いは消えなかった。大手IT企業への就職が内定したが入社はせず、米国行きの機会を待った。「若いときにリスクを取れば、もし失敗しても長い目では問題ないだろう」と考え、行くなら世界中から挑戦者が集まるシリコンバレー、と決めていた。だが、米国への渡航費用すらないのが現実だった。

 ちょうどその頃、大津市に住む祖母が、経営する民宿をたたもうとしていた。築100年近くの古い建物で、年に2、3組の常連客しか来ないという。

 「これはチャンスじゃないか」。日本にもアメリカの民泊仲介最大手、Airbnb(エアビーアンドビー)が進出し、外国人観光客が地方都市にも足を延ばすようになっていた。外国人にも使いやすく部屋やトイレなどを改装してエアビーに出したところ、次々と客が訪れるようになった。あっという間に月20組ほども泊まる人気の宿になり、繁忙期には月に約120人が泊まった。年10万円程度だった売り上げは、400万円に跳ね上がった。人手が足りず、近所の人にも働いてもらい、民宿はたたむどころか、大忙しになった。

■あこがれのシリコンバ…

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