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 熊本地震で被災の大きかった地域を抱える阿蘇地域で、地震のあった2016年度以降、糖尿病の疑いがある人の割合が急増している。生活の変化やストレスの影響も考えられるとして、県や市町村、専門家は健康診断の受診や適度な運動などを呼びかけている。

 健康診断では、血液検査でHbA1c(ヘモグロビンのうち糖化したものの割合)が6・5%以上だと糖尿病の疑いがあると判断される。県の阿蘇保健所(阿蘇地域振興局)が、40~74歳が受診する管内の市町村国保の特定健診の結果をまとめたところ、HbA1cが6・5以上の人は15年度は全体の8・7%で県平均と同じだった。

 ところが熊本地震のあった16年度は11・2%に急増。17年度も11・4%と増えたままだ。受診者数(16年度で計約6700人)は大きく変わらない中で割合が変化していることから、熊本地震による生活習慣の変化やストレスの影響が考えられるという。

 阿蘇市ではHbA1c6・5以上の人の割合が15年度の9・8%から16年度は14・1%に。17年度も少し減ったものの12・7%で、今年度も地震前までは戻らない見込みという。

 市では保健師が健診結果を直接受診者に渡しており、市ほけん課の担当者は「地震のあった年はストレスを感じていたり、いつもの散歩道が壊れて運動をしなくなったりした人もいた。翌年以降は食生活やインフラも元に戻っているので原因がはっきりしないが、地震を機に運動など習慣が変わったままの人もいる」と話す。「自覚症状がないので、できるだけ健診を受けて自分の体の変化に気づいてほしい」と呼びかける。

 また、南阿蘇村はHbA1c6・5以上の人の割合が、16年度は地震前から増えておらず6・2%だったが、翌年の17年度は9・5%に上昇。今年度もその傾向は続くという。

 熊本大医学部付属病院は、同病院に通院する糖尿病患者の熊本地震から1年間の状況を調べた。それによると、HbA1cなどの値は地震後1~2カ月でいったん改善するが、3カ月以降は悪化した状態が継続する傾向が表れた。アンケートと照らし合わせた分析から、長期的な悪化には自宅の大規模損壊や職場環境の変化との関連が見られたという。

 同病院糖尿病・代謝・内分泌内科の近藤龍也講師は阿蘇地域の病院で糖尿病診療にも関わっており、「仮設住宅暮らしや多忙、精神的に落ち込み外出したくないなどの理由で、運動が減っている人も多い」と指摘。「生活環境が変わった人には、新しく健康につながる工夫をしてもらうこと、ストレスを抱える人には支えとなる人が悩みを聴くようにすることが大事」と助言する。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(後藤たづ子)