植村直己賞に岡村隆氏 ジャングルの遺跡探査し半世紀
世界的な冒険家だった故植村直己さんを記念した冒険賞の2018年受賞者が12日に発表され、スリランカを中心に南アジアのジャングル地帯に埋もれた遺跡を約半世紀にわたって発見、探査してきた岡村隆さん(70)が選ばれた。
法政大探検部出身。1969年にスリランカの密林を調査したのを皮切りに、これまで同国で約250カ所、モルディブで3カ所の遺跡を探査してきた。昨夏には、スリランカのジャングルで「タラグルヘラ山遺跡」と呼ばれる紀元前3世紀~紀元1世紀ごろまでに建てられた仏塔や建物のほか、先住民が残した岩絵などの発見に成功。「地味な活動に目を向けてもらえて、戸惑いながらも感激。仲間たち全員へのご褒美だと思う」と語った。
スリランカのジャングル内には無数の遺跡があるとみられているが、現地の政府や大学には予算や人材が足りず満足な調査ができないという。岡村さんは資金を自ら工面。ジャングル最奥の集落での聞き込みや地形などから推理し、ゾウやヒョウ、ワニなどの野生動物に注意を払いつつ、数々の遺跡を発見してきた。
探検の魅力について、「ジャングルの自然の美しさにほれた。他の人が知らないことを自分が初めて知る喜びも大きい」と岡村さん。08年にはNPO法人「南アジア遺跡探検調査会」を設立した。
今後に向け、「12世紀まではスリランカでも大乗仏教が盛んだった。(今後の探検で)日本の仏教のルーツ、源流が浮かび上がることを期待している」と夢を語った。