[PR]

 メキシコ最大級の麻薬組織「シナロア・カルテル」を束ね「麻薬王」と呼ばれた最高幹部、ホアキン・グスマン被告(61)について、米ニューヨーク連邦地裁の陪審は12日、米国への麻薬密売や資金洗浄など10の罪で有罪評決を下した。AP通信によると、量刑は6月25日に出る予定で、終身刑になる可能性が高い。弁護人は控訴する方針だ。

 グスマン被告は、スペイン語の「エルチャポ」(ちび)の通称で知られ、2015年7月、刑務所から2度目の脱獄に成功したことでも有名だ。独房に隠された穴から全長1・5キロのトンネル(高さ1・7メートル、幅80センチ)が外部まで延び、換気口や照明もあった。逃亡の末、16年にメキシコで再び拘束。身柄の引き渡しを求めていた米国に17年に移送され、昨年裁判が始まっていた。

 司法省によると、グスマン被告は米国の大都市への密輸を監督してきた。審理では、押収された薬物のほか、ライフルやロケット弾などの武器、台帳、盗聴された会話の録音などの証拠が示された。薬物は潜水艇や飛行機、隠し部屋のある列車、トンネルなどで米国に持ち込まれ、売上金は幽霊会社などを通じてメキシコに持ち込まれていた。89年にはアリゾナ州でグスマン被告の兄弟が運転するトラックから現金126万ドル(約1億3800万円)が押収されたという。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、麻薬は南米コロンビアでの加工時は1キロ当たり3千ドル程度の値段だが、メキシコなどを通じて米国に運び込まれると高騰し、ロサンゼルスで同2万ドル、ニューヨークになると同3万5千ドルにもなることが審理でのカルテル元幹部の証言で明らかにされたという。(ニューヨーク=金成隆一)