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 「同性婚が認められないのは、婚姻の自由を保障した憲法に反する」などとして、計13組の同性カップルが14日、1人あたり100万円の賠償を国に求め、東京、大阪、名古屋、札幌の4地裁に提訴した。民法や戸籍法が同性婚を認めていないことの違憲性を正面から問う国内の訴訟は初めてとみられる。

 原告側は、社会への問題提起にもつなげようと、バレンタインデーに訴えを起こすことにした。提訴前、東京地裁前で取材に応じた埼玉県川越市の古積健さん(45)は「これから長い道のりになる。みんなと一緒に頑張っていきたい」。東京都内で男性パートナーと暮らす佐藤郁夫さん(59)は「(社会には)まだまだ差別や偏見がある。多くの人が自由に生きられるよう頑張りたい」と話した。

 憲法24条は婚姻について「両性の合意のみに基いて成立」すると規定している。政府は「同性婚は想定されていない」という見解をとっており、同性カップルの婚姻届は「不適法」として受理されない。原告のカップルたちも全員、同様だった。

 これに対し、原告側は訴状で、同条は「家制度」に基づいていた明治民法下の婚姻を否定する内容だと指摘。国家や第三者に干渉されず、望む相手との合意だけで結婚が成立するという「婚姻の自由」を保障しており、同性婚を禁止する内容ではないと主張している。

 原告側はさらに、結婚できないことの影響で、様々な差別を受けていると主張。具体的には、法定相続人となれず、共同親権がないほか、住宅の賃貸やローン契約を拒まれたり、手術の同意者になれなかったりという制約があり、憲法14条の「法の下の平等」に反していると訴えている。そのうえで、同性婚を認めるための民法や戸籍法の改正をしてこなかった国会は「正当な理由なく長期にわたって立法を怠った」と批判し、「立法不作為」にあたるとして、国に損害賠償を求めている。

 訴状は国際的な状況にも言及。1990年代以降、性的指向による差別を禁じる認識が広がり、2001年以降に25カ国・地域で同性カップルの婚姻が認められ、国内の理解も深まっているとしている。

 この日は6組のカップルが東京地裁に、3組が大阪地裁に、3組が札幌地裁に、1組が名古屋地裁にそれぞれ提訴した。

 法務省は提訴について「訴状を受け取っていないため、コメントできない」としている。(北沢拓也、山下知子)