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 「毎月勤労統計」の調査対象入れ替えによる賃金変動について厚生労働省に「問題意識」を伝えた中江元哉・元首相秘書官(現・財務省関税局長)が、14日の衆院予算委員会に政府参考人として出席した。野党は安倍晋三首相の意向が働いたか質問したが、中江氏は「首相秘書官を辞し、所管外」と答弁を拒否した。

 勤労統計は2015年1月に調査対象事業所の入れ替えをした結果、過去の賃金データが大きく変わり、月によっては賃金伸び率が増加から減少になった。14日の予算委での菅義偉官房長官の答弁によると、中江氏は15年3月末に入れ替えに伴う影響などについて厚労省側から説明を受け「問題意識」を伝えたという。

 勤労統計は中江氏が「問題意識」を伝えた約3年後の18年1月に新たな調査手法に変更され、その後の賃金の伸び率が上ぶれする要因となった。野党は賃金上昇率を上げるための恣意(しい)的変更と追及を強めている。

 野党は、中江氏について「勤労統計の見直しに大きな政治的力学が働いたのではないか。その過程で主要な役割を果たした可能性がある」(立憲民主党会派の小川淳也氏)と指摘する。

 小川氏は「問題意識」の伝達について中江氏に「首相の意向か」と質問。しかし中江氏は「昨年7月に首相秘書官の職を辞している。本日は関税局長として出席しており、所管外のことは答えを控えたい」と、現職でないことを理由に答弁拒否を繰り返した。

 中江氏は12年12月の第2次安倍政権発足と同時に首相秘書官に就き、18年7月まで務めた。

 衆院予算委は18日、統計不正問題をテーマに集中審議を開く予定だ。野党は14日、「与党がOKさえすれば、中江氏は秘書官時代の話もする。認めなければ、答弁を封じているのは与党になる」(立憲民主党・逢坂誠二氏)として中江氏の参考人招致を要求。与党側は「期待に沿うよう努力する」と答えた。