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 熊本市交通局が、市電の軌道にまく滑り止めの砂を使った合格祈願ストラップ「すべらない砂」の配布を今季は取りやめた。発がん性のある物質が微量ながら含まれていることがわかったため。安全上は問題ないとされるが「受験生の不安をあおらないほうがいい」と判断したという。

 昨年1月、他県の鉄道会社の同様のグッズから発がん性のある「結晶質シリカ」が検出されたとの報道を受け、交通局が業者に問い合わせたところ、「すべらない砂」にも微量が含まれることがわかった。ただ、業者から「公園や校庭で使われている砂と同じもの」と報告を受け、同様に配布をやめた他県の例でも「大量に吸引しなければ大丈夫」といった見解が示されていたため、「安全上は問題ない」と判断。昨年は、安全性を伝えた上で、理解を示した定期券購入者らに配布を続けた。来季以降は未定という。

 労働環境の有害物質に詳しい独立行政法人労働安全衛生総合研究所の甲田茂樹所長代理によると、結晶質シリカは砂漠や公園の砂場など自然界に存在する鉱物の一種で、通常の砂には数%以下含まれている。トンネル工事の労働者らが大量に吸い込んだ場合に「珪(けい)肺」という病気になり、その患者は将来的にがんになる可能性があるため、国際機関が発がん物質に分類しているが、「少量の砂を入れたびんなどの密閉容器を持ったからといって、普通はがんにはならない」と話している。(柴田菜々子)