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 明治初期に作られ、身分や犯罪歴などの記載があるため、現在は閲覧が禁止されている「壬申(じんしん)戸籍」とみられる文書がインターネットオークションに出品され、約13万円で落札されていたことが法務省への取材で分かった。静岡法務局が14日に回収しており、内容や出品の経緯を確認している。

 壬申戸籍は1872(明治5)年から作られた、初の全国的な戸籍。人名や親族のほか「華族」「平民」などの身分や犯罪歴なども記されていた。就職や結婚の際の差別に悪用されたことが問題となり、法務省は1968年の通達で「回収と封印」を指示した。現在は市区町村や地方法務局で包装して保管しており、親族や担当職員でも閲覧は許されないという。

 法務省民事第1課によると、1月末にオークションサイト「ヤフオク!」に「明治戸籍」とされる文書が出品され、今月7日に落札された。落札後に知った法務省側がサイトの運営企業に協力を依頼し、落札を取り消してもらったうえで、静岡法務局が出品者から無償で回収した。出品者は「そのような大事なものとは知らなかった」と応じたという。

 同省によると、文書は和紙に毛筆で書かれており、表紙には「明治十六年」、中には現在の浜松市内の地名などが記されている。壬申戸籍の可能性が高いといい、確認を進めている。壬申戸籍を巡っては2017年8月にも東京都豊島区のものがネットオークションに出品され、法務省が回収した。明治初期には、有力な民間人が「戸長」として戸籍を管理した地域もあるといい、法務省の担当者は「回収されなかった戸長の戸籍が出回った可能性がある」としている。(矢吹孝文)