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医の手帳・風疹(3)

 妊娠中、特に妊娠の初期に母親が風疹にかかると、胎児に風疹ウイルスが感染し、先天性風疹症候群を引き起こします。この病気は、目、耳、心臓などの体の大切な臓器に影響を与えてしまうとても怖い病気です。

 目は、レンズの部分が濁ってしまう白内障により、視力に大きな問題が生じます。耳は、音を感じる器官が影響を受けて難聴をきたし、補聴器が必要になることもあります。心臓は、おなかの中にいたときの血液の通り道が開いたままとなり、体の血液の流れに問題が生じます。生まれながらにもった後遺症は、現代の医療でも、なかなか治すことが難しいです。

 この先天性風疹症候群をもつ患者さんと、その保護者の声を社会に届けている患者会があります。「風疹をなくそうの会 『hand in hand』」です。主にご自身が妊娠中に風疹にかかり、子どもが先天性風疹症候群に罹患(りかん)した体験をもつお母さんが活動を支えています。

 「自分が風疹にかからなかったら、子どもは後遺症に一生苦しむことはなかった。違う人生を歩んでいたのでは」という後悔は一生消えません。同じ思いをする人がでないよう、情報発信や啓発活動を地道に行っています。

 風疹にかからないためにはどうしたらいいのか。風疹は、1人の患者から6~7人程度に感染すると言われています。毎年大流行するインフルエンザは、2~3人程度であるので、その感染力はとても強いといえます。確実な予防の手段は、ワクチンしかありません。患者会では、ワクチンの重要性をいつも伝えています。

 妊娠を考えている人、希望している人は、自分の風疹に対する免疫をまずは確認する必要があります。妊娠が分かってからワクチンの接種はできないので、その前段階の予防が必要です。風疹が流行している今、先天性風疹症候群にかかった患者さんと保護者の声をしっかりと胸に刻まなくてはいけません。

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野 斎藤昭彦教授)