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 ほぼ全選手が日暮れ前に練習を終える。一見すると練習量は減った。矢野新監督が「首脳陣に見せるための練習はするな」と周知したためだ。一方で競争の質は上がっていると見る。

 1軍の沖縄・宜野座キャンプは43人の大所帯。金本前監督の昨年より3人増えた。そこに「矢野門下生」と呼べる選手たちが交じっている。5年目の守屋、4年目の望月らは初参加。昨春は2軍の高知・安芸にいた選手が8人もいる。昨年、2軍を率いた矢野監督が引き上げた。

 象徴的な存在が昨年、2軍で主に4番を打った大卒4年目、24歳の板山だ。外野手だが内野もできる。

 1年前の板山は失意の底にいた。3年目で振り分けられたのは2軍キャンプ。当時の矢野2軍監督が実戦で先発から外すと、ベンチで下を向いていた。試合後、2人で話し合った。

 「お前はどうなりたいんや」「それでは俺もよう使わんぞ」「やれることからやってみろよ」。その日を境に板山は変わった。一塁まで全力疾走し、守備位置までも走る。同期の高山へのライバル心も胸にしまった。矢野監督から「自分がどうなりたいかが大事」と言われ続けたからだろう。

 今、板山は早朝からバットを振る。紅白戦でも走ることには手抜きしない。「監督には去年から声をかけてもらってきました。その期待に応えたい。強く思っています」。競争の輪に加わる人数が増えた。それが最大の補強ではないか。(伊藤雅哉