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 強い日差しと冷涼な風が吹く米国アリゾナ州で、大リーグ・マリナーズのイチロー(45)が16日、大リーグ19年目のシーズンに向けたキャンプをスタートさせた。「『イチロー選手』と呼ばれるのは気持ちいいね」とプレーヤーとしてキャンプ初日を迎える喜びをかみしめた。

 昨季はキャンプインのあとに契約したために途中参加だった。そして、5月3日には選手登録から外れ、球団をサポートする会長付特別補佐に就任することが発表された。しかし、その日からイチローはこのキャンプインの日に選手であることを目指していた。「ここにいる誰もが想像していなかったと思うけど。僕にとっては大きな記念日ですよ」。アリゾナの地で野球をすることにも気持ちは高ぶった。「場所がそうさせてくれる。日本でずっとトレーニングしていても、イメージはしてきたつもりだけどこの1日にはかなわない。練習でどれだけバットを振っても1打席にはかなわない、その感覚に近いかな」と言った。

 イチローはウォーミングアップでも守備練習でも先頭に立ってこなした。これまでと変わらず体は引き締まっている。一方で打撃フォームは変わった。試行錯誤の段階とみるが構えた時に両ひざが深く曲がり、バットも投手よりに倒していた。25スイング中5本の柵越えを見せた。

 フォームの変化については語らなかった。だが、日米通算28年目のシーズンを迎えても、変化を恐れない。会長付特別補佐からの復帰も含め、「誰もやってきていないことに挑戦すると言うことは、僕は結果としてもいくつか残してきたことではある。まあ、誰もやったことがないことの方が、飛び込んでいくという選択になる。それは常々してきたつもりだし、今回もその一つ」。

 イチロー独特の表現は続く。「いつも期待を裏切りたいという気持ちはあります。この場合の期待はどちらか、とらえ方によると思うんですけど。やっぱり、難しいと判断することも本当は難しいんだけど。まあね、これは誰もやっていないんだから。だから、その判断というか安易な責任のない意見かな。そういうものを裏切りたい」。3月20日、東京ドームでの開幕戦を目指す。(ピオリア=坂名信行)