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骨髄バンク、ドナー登録相次ぐ 池江選手への共感後押し

井上充昌
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 競泳の池江璃花子(りかこ)選手(18)が血液のがん「白血病」を公表したのをきっかけに、患者への骨髄提供を受け付ける一般社団法人・宮城骨髄バンク仙台市)への問い合わせが急増している。池江選手への共感に後押しされ、「誰かの命が助かるのなら」と、ドナー登録をする人が相次いでいる。

 宮城骨髄バンクが16日、仙台市青葉区のアエル献血ルームで開いたドナー登録会には、説明を受けに来る人が絶えなかった。

 同バンクによると、池江選手が今月12日に公表して以来、普段はほとんどかかってこない問い合わせ電話が1日20本ほど鳴るようになり、ブログへのアクセス数も約5倍に増えた。

 定例の金曜日である15日の登録会に、以前の2倍近い人が来たため、急きょ16日にも開催。旅行中に立ち寄った埼玉県の会社員女性(30)は「関心はあったが、池江選手のニュースをみて、できる限り協力したいと思った」と話した。

 ドナー登録は18~54歳の健康な人ができ、血液2ミリリットルを採取して白血球の型を調べる。患者と適合すれば、同意の上で全身麻酔をし、腰の骨に針を刺して骨髄液を採取するなどの方法で提供する。国内で約1600人が骨髄移植を待ち、ドナー登録者数は約49万人いるが、患者に適合する人は見つかりにくい。阿部洋一事務局長は「一人でも多くの方に登録してほしい」と呼びかけている。

「一歩踏み出して」骨髄移植経験の女性も呼びかけ

 宮城県七ケ浜町の福岡和子さん(39)は、自身も急性白血病を患い、骨髄移植を受けた一人だ。JR仙台駅前で16日、骨髄バンクへのドナー登録を通行人に呼びかけた。

 2012年7月に長男を出産し、13年春ごろから疲れを感じるようになった。職場復帰したばかりの頃。気にもとめず、市販の栄養補給剤を飲んだ。詳細な健康診断で、急性白血病がわかった。

 検査の痛みや抗がん剤の体への負担もあり「つらいことしかない」。抗がん剤治療では改善せず、骨髄移植が必要になった。運良く実の兄が適合者と分かった。「移植を受けなければ死んでいた。兄には感謝しかない」。今では検査を受けるだけになった。

 提供される骨髄が適合する確率は低い。もっとドナー登録が必要だ。助かる命が増えるよう「一歩踏み出して」。そんな思いで、福岡さんは啓発ボランティアに励む。「生きることができて、やらなくてはいけないことがはっきりした」

 中学生の頃は競泳選手だったという。大好きな池江璃花子選手には「水泳で培ったはずの負けない気持ちを治療に生かしてほしい」とエールを送る。

  ◇

 ドナー登録の問い合わせは宮城骨髄バンク(022・299・2450)、日本骨髄バンク(03・5280・1789)へ。宮城骨髄バンクのホームページはhttp://miyagi-tunagu.net/別ウインドウで開きます

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(井上充昌)

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