スーパー杯決勝点にみる憲剛の思考力(中西哲生コラム)
最近、川崎フロンターレの中村憲剛とじっくり話をする機会がありました。彼との話の中で特に印象に残ったのは、「サッカーでは、自分たちのやりたいこと“だけ”をやっても、相手は崩れない」という言葉でした。「大前提はまず相手を見ること。そのうえで自分たちがどうすべきか」と続けていました。
それをまさに体現していたのが、川崎が浦和レッズを1―0で下した16日のスーパーカップでした。川崎の決勝点は、元ブラジル代表で2012年ロンドン五輪得点王のレアンドロダミアン。そこに注目が集まるのはもちろんのことですが、実はこのゴールも中村の緻密(ちみつ)な動きから生まれたものだったのです。
この日の浦和は5―3―2のフォーメーションで、最終ラインにセンターバック3人と左右のウィングバックの5人が並び、その前には3人のMF。ゴール前になかなかスペースを空けてくれません。
そんな中、後半7分に先制点…