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 青森県むつ市の招きで川内地区に滞在し、絵を描いた東北芸術工科大学(山形市)の大学院生3人の作品が完成し、むつ市川内庁舎で住民らに披露された。美術館のない同市が若手芸術家の力を借り、川内を丸ごと美術館にしていこうという取り組みで、作品は今後、地区内の学校や公民館などで移動展示される予定だ。

 完成した絵画作品は、いずれも修士課程2年の国府田(こくふた)姫菜さん(24)の「鯛島(たいじま)伝説」、鈴木咲穂さん(26)の「明日をのぞむ」、神谷恵さん(26)の「背に広がる」。それぞれ畳2畳ほどの大きさだ。3人は大学の夏季休暇の昨年9月に20日間滞在。市職員の案内で、川内、脇野沢両地区にある下北ジオパークのジオサイト(見どころ)などを回ってスケッチしたり、住民と交流したりして作品の着想を得た。

 脇野沢の鯛島に伝わる悲哀伝説にひかれた国府田さんは、住民の海を守る取り組みに感じ入り、「泣いている娘が涙をふき前を向いて進んでいく、そんな意味を込めた」。川内川の河口を描いた鈴木さんは、ホタテを差し入れてくれたり飲み会に誘ってくれたりした住民たちに「外に向かって開けている土地柄、人柄を感じ、明日に向かって開けていくイメージを描いた」。窓ガラスに映り込む海と山を描いた神谷さんは「自分の見ている先の、後ろにも広がる風景を想像してほしい」と解説していた。

 若い芸術家たちの招聘(しょうへい)は市がむつ小川原財団の助成を受け、今年度250万円で始めた滞在型地域連携アートプロジェクトで、2020年度まで続ける。宮下宗一郎市長は「下北の美しい景色を切り取ってもらう芸術家を今後も集めて、まちの活性化、元気になることを願う」と話していた。(伊東大治)