鹿児島)和紙にアートで新たな息吹を
町田正聡
障子やふすま、ちょうちん、傘など、かつて日本の暮らしに根付いていた和紙。「日常生活の中で薄れゆく和紙に、現代アートで新たな息吹を与えたい」。和紙絵作家奥平伊代里さん(29)=鹿児島市伊敷6丁目=はそんな思いを込めて和紙に絵を描く。和紙文化の継承・発展を願い、和紙の原料となるコウゾの植栽から刈り取り、紙すきによる和紙作りまで手がける。
「臥竜梅(がりゅうばい)」という奥平さんの作品は縦1・15メートル、横1・57メートルの大作だ。長年の風雪に耐えてきたような、ごつごつした風格ある木肌を、和紙の厚みを変えたり、コウゾのスジを一緒にすき込んだりして立体的に表現している。こうした作品を、ここ4年余りで約30点制作した。
奥平さんと和紙との出会いは2014年秋、市内で催されたアートイベントで、和紙アーティストの種子田幸廣さん(68)と知り合った時だ。奥平さんは中学、高校と美術部で、絵を描くことが好きだった。市内の会社に就職後も休日に絵筆をとったり、作品をコンテストに出したりした。アートイベントで、和紙を活用した種子田さんのランプシェードを初めて見て、心が動いた。「和紙からもれ出る光の、なんと優しいこと」。すぐに弟子入りした。
和紙絵作りの拠点は同市西陵…
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