iPS細胞で「ミニ肝臓」 横浜市大が臨床研究申請へ
戸田政考
iPS細胞から「ミニ肝臓」を作り、重い肝臓病の乳児に移植する臨床研究計画について、横浜市立大のグループが、夏にも再生医療を審査する慶応大の委員会に申請する方針であることが23日、わかった。肝臓のような複雑な臓器の組織をiPS細胞から作るのは難易度が高い。2020年度の移植を目指している。
谷口英樹教授らのグループは、iPS細胞から「肝臓前駆細胞」「血管内皮細胞」「間葉系(かんようけい)細胞」という3種類の細胞を作り、組み合わせて肝臓の機能を持つ組織「ミニ肝臓」(直径約0・15ミリ)を作製。大量に移植して肝臓の機能を補う。
iPS細胞を使う臨床研究で移植する細胞数は、慶応大の脊髄(せきずい)損傷で約200万個、大阪大の心不全治療の心筋は約1億個。今回は数億個と大幅に多い。
グループは肝疾患のマウスに移植し、肝組織が作られて治療効果があったことを確認した。
計画では、生まれつき肝臓で…

- 戸田政考(とだ・まさとし)朝日新聞記者
- 科学医療部記者。再生医療やゲノム編集などの基礎医学に面白さを感じ、現在は医療全般を取材。気候変動問題もライフワーク。フットサル年50回が目標。テンションとコレステロールは高め。